二年生時代つづき
二年生時代のつづきです。
「特技は?」先生が予定にない質問をしてきた。突然のことに内心動揺するも、「短距離走です」何事もなかったかのように答える。
「そうなんだ。趣味は?」ホッとしたのもつかの間、再び矢面に立たされた。
「どっ…動物ファミリーで遊ぶことですっ」さすがに二回目は隠せず、どもってしまった。三香子は笑われていないか、とっさに周りを確認した。みんな真面目な顔だった。しかし、最前列窓際の女子だけが、なぜか驚いていた。
「ありがとう。じゃあ、あそこに座ってね。ちなみに、席は出席番号順だから」先生が指差した空席は、その子の真後ろだった。ようやく質問攻めから解放された三香子は、心持ちふらふらしながらそこへ向かう。先生は着席まで見届けると、「授業まで自由時間ね」と言って、黒板に向き直り名前を消しはじめた。それまで静かだった教室が、再びざわめきだす。
「ねぇ、動物ファミリー好きなの?」さっきの女の子が、目を輝かせながら聞いてきた。(話しかけてくれた!!)三香子は興奮を抑え、「そうなんだ」落ち着いた感じで答えた。
「私も大好き。今度一緒に遊ぼうね」それを聞いて、一気に緊張がほぐれていくのを感じた。
「ねぇ、名前なんていうの」今度は三香子が尋ねる。女の子はハッとした顔になって、早口でまくし立てた。
「あっ、ごめん。言い忘れてた。名前はね、野口舞美」
「…野口さん?」ぎこちなく呼び掛けると、「舞美でいいよ」優しく微笑んでくれた。
「はい、授業始めるよー」先生の声がすると、皆が静かになって前を向いた。三香子はそれに倣いつつ、これからが楽しみだと顔をほころばせた。
ありがとうございました。
二年生時代は終わりです。