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自称宇宙人曰く

作者: 玻璃馬屋瑠璃左衛門
掲載日:2026/10/15

年金まであと半年、無職64歳の財布は軽い。

「食費を削るか。」俺は独りごちた。

「貯金がドンドン減っていく。宝くじでも当たらないかな。」


その夜、俺は不思議な体験をした。


「明るい!また電灯を落とすのを忘れたかな?」

俺はのそのそ瞼を開いた。


ここは?どこだ?


ゴミ屋敷で寝てたはずなのに、その空間には物はなく、頭上でオーロラが極彩色に輝いていた。これは夢なのか?


「聞け。夢ではない。」


頭の中で「声?」が響いた。



なんだなんだ?一体誰なんだ。

俺は混乱した。辺りを見回しても人影はない。


「お前の脳内に直接情報を伝えている。」不思議な声?はそういった。


「お前は誰なんだ?」俺は言葉にした。

「宇宙人?未来人?超能力者?それとも神?」


「宇宙人だ。」声?は答えた。


宇宙人!どこから来たんだ?「太陽系内か太陽系外か?」


「太陽系外からだ。」自称宇宙人は答えた。


どうやら夢ではないらしい。いつも見る夢では、会話が成り立っていないし、夢を見てるかどうか疑わない。第一天然色だ。


「どの星から?」


「それには答えない。」


「なぜだ?」


「必要と判断した情報以外は伝えない。」


「その宇宙人が還暦過ぎ、非婚、貧困男子になんの用だ?」俺は尋ねた。


「地球人類への警告だ。」


「警告とは?」


「このままでは地球人類文明は滅亡する。人口の95パーセントは死に至るだろう。」


「その警告は、地球人全員に伝えているのか?」


「否。お前1人に伝えている。預言だ。」


SNSを使えば、1個人であっても世界に向けて発信はできる。

しかし太陽系外宇宙人なら地球人全員の脳内に直接メッセージを伝えることができるだろう。この不思議な声?を使って。その方が手っ取り早い。

何でやらないんだ?


「慣例だ。1人を選び、その1人に伝えさせるのが伝統的手法なのだ。」声?が聞こえた、考えを読まれたらしい。


しかし拘りが強い。コレは面倒なやつだ。タコのお面でも被っているに違いない。


「その1人がなぜ俺なんだ?」


「お前が、平凡で無宗教な人間だからだ。特定の宗教やイデオロギーと結びついては警告が意味をなさないからだ。」


自称宇宙人公認の平凡人かよ。ちょっとムッとはしたが、まあもっと話を聞いてみよう。


「具体的にどうなるから、人類の20分の19が死に至るんだ?」

「戦争か?疫病か?それとも地球温暖化か?」


「我々は警告するだけだ。」自称宇宙人は答えた。


不親切だな。俺は思った。


「このままだとどうなるか、それを考えるのも含めて、お前達の宿題だ。」声?は答えた。

地球人の宿題か?小松左京だっけ?


「人類は滅亡する!!というだけでは、ちょっと前の週間少年漫画誌でも毎週のように言っていたし、人類滅亡論者は数多いるぞ。ただ滅亡するとだけではインパクトがない。」


「お前が宇宙人だという証拠が欲しい。例えばまだ地球人類が知らない物理法則とかを教えて欲しい。それなら耳目を集められるかもしれない。」俺は自称宇宙人に言ってみた。


「文明の発展は与えられるものではなく、自力でたどり着くべきだ。」自称宇宙人はツレなかった。


「ならば、人類史の中で未解決となっている考古学上、歴史上の情報についてでも良い。」


「ダメだ。」


「じゃあこういうのはどうだろう。俺のお頭の髪の毛は寂しくなっている。フサフサにしてくれないか?預言には奇跡がつきものだろう。俺の太鼓腹を引っ込めてくれても良い。お前ら宇宙人の技術ならお茶の子サイサイだろう。技術そのものを教えてくれというわけでもない。どうだ?」


「ダメだ。」


「アレもダメこれもダメか。なんのお土産もないなら話は終わりだ。他所を当たってくれ。俺はもう寝る。」ただ宇宙人から警告を受けたと言っても信じてくれる人はいないだろう。それこそ夢を見たんだろうと言われるだけだ。


「ならば天体の観測情報だけ渡そう。これで我々が太陽系外宇宙人と理解できるだろう。」


「日本時間令和XX年XX月XX日午前XX時XX分天体番号 XXXXXXXで、

日本時間令和XX年XX月XX日午前XX時XX分天体番号 XXXXXXXで、

日本時間令和XX年XX月XX日午前XX時XX分天体番号 XXXXXXXでそれぞれ超新星爆発が観測される。

これは地球人類には前もって知ることのできない情報だ。」


俺は考えた。確かに現時点で地球人が知り得るはずのない情報だ。しかし弱い。超新星爆発なんぞ宇宙ではありふれた事象だ。もっとインパクトを!


「おまけが欲しい。今の地球人が持つ知識では説明できない事象が観察できる天体番号を教えてくれ。」


しばらく間が開いたのち、自称宇宙人は答えた。

「天体番号 XXXXXXXを観測すれば興味深いだろう。」


「あと一つ、この情報を金にしても良いか?」只働きはしない。


「構わない。我々は預言が然るべき人間達に伝われば良い。」


視界がブラックアウトした。

気づくと真っ暗なゴミ屋敷の中だった。


夢か。眠い。もう一回寝よう。


目が覚めたのは正午過ぎだった。


夢を見たな。あれ夢だったのか?

日本時間令和XX年XX月XX日午前XX時XX分天体番号 XXXXXXX、覚えてる。いつもだと目が覚めて数十秒で綺麗サッパリ忘れてしまうのに細部まで覚えている。しかもいつもだとモノクロームなのに今回は色彩まで覚えている。


アレは夢ではなく現だったのか?

まあ待て。焦ることはない。

明日まで覚えていたら、夢ではないと確信できる。


タブレットを開いてニュースを見る。

A国がB国を攻撃した。世界経済の混乱は不可避。こんなのばっかり。


その昔、冷戦時代では核戦争への恐怖が均衡となって戦争は下火だったが今じゃ箍が外れたように世界中で紛争が広がっている。


自称宇宙人の警告と何か関係があるのか?


いや、地球温暖化の方が問題だろう。

農業への打撃が大きすぎる。


社会の問題もある。グローバル化し、ボーダレスとなって、文化の衝突が起きている。富裕層と貧困層の二極化も進んでいる。


前世紀、科学技術が進んだ21世紀は人類にとって明るく幸福な時代になるだろうとの予測がなされていた。SFではロボットが発達して人類の代わりに仕事をしてくれるので人類は労働から解放されるというのもあったが、現状は人類に優しくなっていない。


石油も採掘技術が発展したとはいえ資源量には限界があるし、このままではダメだ。色々な工業製品の素となっているのを発電のためにタダ燃やしてしまうのは勿体無さすぎる。核融合発電はようやく実用化に向けて競争が激しくなってきたが、実際にモノになるのはも少し時間を要するだろう。危険性はあっても従来の核分裂による原子力発電に頼っていかざるを得ない。しかし原爆の材料となるプルトニウムを生産することになるので核兵器が拡散しかねないのは大きな欠点だ。しかもテロがあれば周りへの影響が大き過ぎる。


色々ごたくを並べたが、厳しい時代であることは間違いない。




日付が変わって、翌日になっても自称宇宙人とのやり取りは詳細に覚えていた。

夢なんかではなく、ある存在と交信したことは間違いないと確信できた。


個人が情報を発信するならSNSだ。@ポストとやらで天文機関に知らせればいいかな。

後はどうやって稼ぐかだが。


誰でも一冊は本が書けるというが…

そこで妄想を元に作文してみました。

一応宇宙人が出てくるので、あまりSF要素がないにも関わらず、ジャンルをSFにしてみました。

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