第三話 ラムラコフスキーの目論見 後編
「さて、エジンバラ至聖神学校の『特別講師』でもあった、あんたの戦う理由は何なのさ?」
長い沈黙の果てに、レーは口を重々しく、ゆっくりと開いた。
「それは……俺は、何年も前のことだ…俺の彼女を教団幹部『12使徒』のマヒュー・ヘルムによって奪われた……!!奴はひどく狡猾で、金や女に目がないやつだ。奴は己の欲望を満たせる至聖教に入信し、わずかな時間で幹部まで上り詰めた……」
レーは深呼吸をし、自らを落ち着けるように語り始めた。
「俺の彼女は真っ直ぐな人間だった。だが、マヒューと関わってからは……人が変わったように奴の悪事に手を貸し始めたんだ。悪事に加担するたびに、彼女はマヒューのそばに居るようになった。そして最終的に……使えないやつだと判断されて殺された……!!彼女は俺の眼の前で自殺した、いや『させられたんだ』。」
レーの過去を聞き、場が静まり返る中、リンは口を開いて質問をした。
「そんなことを経験したあんたが、どうして至聖神学校の『特別講師』をしていたんだ?あんたの……レー先生の行動には謎が多い。」
レーは必死に頭を回したが、その理由が出てくることはなかった。
「んー。忘れたはずはないのだが……」
その場が再び静まり返った。すると警備隊長が口を開き提案をした。
「レー殿、やはり我々と手を組んで、マヒューの行方を……至聖教を……追いましょう。」
すかさずリンも言葉を投げかけた。
「そうだ、あんた1人や私たちだけじゃ至聖教は倒せない。だからこそ、ラムラコフスキー校長のティームワークという言葉を胸に刻んで手を取り合うんだ。」
その言葉を聞き、レーは校長が自分に託した遺志を再確認し、決意した。
「ティームワーク……!!ああ、私も協力するんですね。
んー?リン、あなたもエジンバラ至聖神学校の関係者なんですか?」
レーが質問を投げかけるとリンは笑顔を見せて答えた。
「協力には感謝するよ。私は、神学校では生徒会長だったの。
そこで弟が拉致されてから、私が路頭に迷っていると、ラムラコフスキー校長が私を匿ってくれた。あの人が居なければ教会の闇を知った私は、間違いなくすぐ殺されていた。」
リンのラムラコフスキーへの感謝の気持ちには、その場の全員が頷いていた。
しばらく各々が話をしたあと、警備隊長が地図を出し、今後のための情報整理を行い始めた。
「さて、まずはブリテン島最大の教徒軍駐屯地、エジンバラ至聖神学校を叩くとしましょう。学校自体はすでに破壊されていると聞きましたが、教徒軍の生き残りは排除しておくべきです。
リン様、周辺の交通封鎖はこの警備隊長パトリックにお任せください。」
「んー。では、私とリンで敵の本隊を壊滅するんですね。」
「賛成ね。パトリック、敵を1人も逃さないように頼みますよ。」
こうして一行は、再びエジンバラの地へ向かったのだった。
リンとレー、それぞれが情報を開示しています。
ラムラコフスキーはかなりの根回しをしていたことが分かりますね。
これにて『ラムラコフスキーの目論見』は終わりです。
次回、やっと教徒軍とまともに対峙。
以下、各キャラの立ち位置など
・ロケット・レー……謎多き人物、至聖教との因縁により、自身の勤めていたエジンバラ至聖神学校へ謀反を起こす
・ナカム・ラムラコフスキー……エジンバラ至聖神学校の校長、レーとともに謀反を起こし、教徒軍の足止めをする。謀反前、数年間に渡って協力者の手配など暗躍をしていた。
・リン……ナカム・ラムラコフスキーに救われた至聖神学校の元生徒会長、弟を拐った教会の闇を知り、至聖教と対立
・パトリック……リン率いる反至聖教の組織の警備隊長。実質戦略などの統括をしている。
・マヒュー・ヘルム……至聖教幹部『12使徒』の1人、至聖教でもとびきり悪事をはたらいてきたが、実力は確かで狡猾な男。数年前にレーとの因縁を作った。
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