表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

不機嫌

続きです

あれから寮に戻った僕は、司書さんに言われたことを反芻していた。「夢を壊さない為」だとか、「知らないほうがいい」とか「無駄な努力」だとか、僕の何を見てそう言ったのか、本当にわからない。この国の人たちは皆、魔法が使えて当然なのだから、僕は当たり前のことを言っているはず。それなのに何故司書さんはあんなことを…頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだった。

そう考えているうちに時は経ち、いつの間にか朝日が昇っていた。

モヤモヤしながら学校に向かう準備をして寮から出ると、そこには彼女の姿が。僕は挨拶だけして、彼女に見向きもせず学校に向かう。彼女は何も言わなかったが、僕の横を俯きながら歩いていた。

これほど重い空気は初めてだった。今にも走り出したいくらいには。でもそんな重い空気を切ったのは彼女だった。

「昨日司書さんから言われたことについて悩んでいるの?」

と声をかけられ、僕は返事はしなかったが、首を縦に振った。

「私もあれから色々考えたんだけど、まるで意味がわからなかったわ」

と笑いながら伝えてきた。僕は不機嫌になり

「こっちの気も知らないで、何言ってるの?」

と怒気をはらんだ声で言い返した。そして

「当事者じゃないから、そんな気楽にいられるんだろ」

「それは…」

「だったら話しかけないで、先に行く」

とイライラしながら、先向かった。その途中で

「君の力になろうと思っていたのに…」

と言った彼女の声は、僕には届かなかったが少し悲しそうな声だったことだけは気がかりのまま、彼女を置いて向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ