努力とは
続きです
あれから毎日のように実技の練習をしているのだが、一向に魔法が使える気配がない。彼女も不思議に思っていて、2人して頭を悩ませていた。そこにいつもは図書館にいる司書さんが僕たちに声をかけ、
「2人して悩んでどうしたんだい?」
と話しかけてきた。2人とも司書さんのことは信頼しているので思わず
「彼、一向に魔法が使えないから、どうすれば使えるようになるのかなって」
「本とかで色々調べて実践しているんですが、どの練習をしても出来るようにならなくて」
と正直に伝えた。そうすると司書さんは、少し考えた素振りをみせ、そして
「ちょっと自分にも見せて貰えないかな、僕だったら解決できるかもだから」
と言われたので、お互いに向かい合っていつもの練習を見せた。
その様子を見た司書さんは怪訝な顔になり、僕に
「君は何故魔法を使えるようになりたいんだい?」
と言われたので、僕は
「やっぱり魔法は使えるようにならないとだめだと思って、あと大魔道士になりたいって思ってるからかな」
と言った。そうすると司書さんは、
「僕は君が魔法使えない理由はわかったんだけど、それを君に伝えると君の夢を壊すことになるから、今は言えないかな」
と言われてしまった。その言葉に僕は不機嫌になり
「理由がわかったのなら教えてほしいです、そうすればちゃんと魔法使えるようになるはずだから」
「僕も君に伝えたいことは山々だよ、でもこの事実は君自身を苦しめることになるし、知らないほうが君は幸せだと思うよ、どうしてもって言うなら教えるけど、その事実は君自身の手で理解したほうが君の為になると思うよ」
と言い返され、その気迫と圧力に僕は何も言えなくなってしまった。そして司書さんは
「努力は報われるとはよく言うけど、努力する方向を間違えてしまえば、それは無駄なことになってしまうからね」
と忠告気味に伝えられ、その場を去ってしまった。
僕は彼女に、
「今日はもうやめる、ちょっと考えたいことがあるから」
と伝え、イライラしつつもその場を後にするのだった。