彼女の悩み
続きです
「大丈夫?」
と声をかけた僕だったが、それ以上に彼女は驚いた素振りを見せた後、
「うん、大丈夫だよ」
と言ってくれた。そのまま彼女のケガの手当てをしてあげ、そのまま彼女にこうなった経緯を聞こうとした。
でも彼女は
「私がこんな役に立たない魔法しか使えないから」
と言い始めた。全く使えない僕とは違いちゃんと魔法使えることが羨ましいと同時に、何故彼女がそんなことを言うのか疑問に思った。なので僕は、
「役に立たない魔法って言っているけど、僕にはそんな魔法一つ使えない役立たずな人間だよ」
と自分を卑下的に伝えたが、彼女は
「うん、知ってる。でもあなたはそれでも私を守る為に体を張ってくれた、世間的には役に立たない人間なのかもしれないけど、私にとっては、守ってくれた、優しい人なんだと思ったよ」
と言ってくれた。だから僕は彼女の悩みを聞いてあげることにした。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、君は何故持っている魔法が役に立たないって決めつけてるのか知りたいな」
…と。そうすると彼女は
「君に言っても解決にはならないけど、私って治癒魔法しか使えないんだよ、それで何か出来るわけじゃない、ただ治癒するだけ、みんな私より強いのに、そんな魔法…」
「治癒魔法だって立派な魔法じゃん、そして役に立たないものじゃない、その魔法で一人でも多くの人を救う為に使えば、それはもう役に立つ魔法、君の力で直した人が笑顔でありがとうと伝えて貰えたら、そのありがとうの一言が役に立ってる証拠じゃない?」
と言った。そして
「世間では適正属性が多いほうがいい、沢山魔法使える人がいいなんて言ってるけど、僕はそうは思わない、全ての属性にそれぞれの良さがあり、立派な魔法だと思うよ」
と伝えた。僕がそこまで熱く語ると思わなかった彼女は、少し面食らっていたが、そのまま笑い、
「君にそこまで言われたら、なんか悩んでたことがバカらしくなったよ」
と。そして、
「今日はありがとね、助けてくれて。」
と言いながら、彼女はその場を後にするのだった。