死の覚悟
今回も過激な表現があります。
苦手な方は飛ばしてください。
あれからどれほどの時が経ったのだろうか。目が覚めると、そこは依頼の待機所だった。僕は重い体を持ち上げると、そこには紙が置かれていた。そこにはゴードンさんからの呼び出しだった。僕は指示通り向かい、ゴードンさんのところへ向かうと、
「これ、今日の報酬な」
と言われ、少量だがお金が入っていた。そしてゴードンさんに、
「1回病院行ってみるんだな」
と言われ、言われた通り向かい治療してもらった。だが、支払いの時、もらった報酬全て持っていかれ、結局残金はなくなった。
僕は理解した。あの雇い主は何も変わってないんだなと。
そして、ゴードンさんからは
「これで理解しただろ、お前たちでは何も出来ないと」
と知っていたかのように笑った。そして、
「一度してしまったことは取り返しのつかないことになる、肝に銘じることだな」
と言われ、僕はゴードンさんに
「…まだ方法はあります、ただそれは自分の身を滅ぼす覚悟がいるだけです」
と言い、その場を後にするのだった。
それからというもの、僕は雇い主達からの拷問を受け続けていた。
正直メンタルが持ちそうになかった。ただ、魔法を受けること自体の苦は何もなかったので、来る時が来るまでは耐えようと思っていた。
そのような生活を数週間ほど経ったのだろうか。ある日、いつもの通り、雇い主から目隠しをされいつも通り拘束され、「ああ、今日も始まるんだろうなぁ」程度に考えていた時、僕の肩に何かが刺さる感覚がした。思わず声を上げようとしたが、痛みを堪え、次の何かが腕を貫通した感覚がした。痛みと共に、僕は死を悟り、耐えられない痛みと共に意識が朦朧とした。そして、今まで感じたことのない痛みに悶絶しながらまたも意識は闇の中に消えるのだった。
目が覚めるとそこは病院だった。僕は全身に包帯を巻かれ、体が動かない状況だった。暫く経つとお医者さんが来て、
「ここがどこか分かりますか?」
と言われたので僕は「病院ですか」と聞き返した。
お医者さんはそれに肯定し、そして、
「思い出せる範囲でいいです、その全身の傷はどう入ったのですか?」
と言われ、僕は
「…恐らくですが、何かで刺されたり、撃ち抜かれたりした感じですかね」
というとお医者さんは、
「それ以外は覚えていないですか?」
と言われたので僕は「そうですね」と答えた。そうするとお医者さんは真剣な目をして、
「あなた、もう少し遅かったら死んでましたよ」
と言われた。僕はそれを悟っていたのもあり、「そうなんですね」と答えた。実際、三途の川は見えていたし、僕は覚悟出来ていた。
そして、お医者さんからは、
「まあ、全治するまで数ヶ月はかかるけど、これ以上想い人を悲しませるんじゃないよ」
と言われ、僕はきょとんとした。そして、お医者が出ていった後、入れ替わるようにエミリアが入ってきたのだった。