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第8話 青白い肌の外交官

悪魔を召喚した翌日も、私はいつも通り司令部に出向き、淡々と仕事を続けた。まるで何事もなかったかのように——ただ、頭の片隅にはあの悪魔のことがちらついていた。


司令部の地下に設けられたトラプトニアン用の居住空間は、地球側が交渉の場を維持するために用意したものである。トラプトニアンが地球の環境で快適に過ごせるよう設計され、まるで地球人の生活空間と見分けがつかない。それでも、どこか異質な空気が漂っていた。


その居住区の一角に住むカリドゥスは穏健派の外交官だ。青白い肌を持つ彼は地球での生活を特に気に入っているようで、自由時間のほとんどを地球上の動物の研究に費やしている。だが、彼には一つ気になる行動があった。


カリドゥスは毎晩、決まった時間にどこかへ出かけていた。

「トラプトニアンとの信頼関係を築くため、原則として外出は許可されている。」司令部の規則はそうなっているが、毎晩同じ時間に外出し、深夜まで戻らないのは不自然だった。


彼は司令部に紛れ込んだ諜報員ではないのか――そんな疑念が頭をよぎる。




その夜、私はイモケンピを伴い、彼の後をつけることにした。


カリドゥスは司令部の居住区を抜け出し、商店街の外れへ向かっていった。彼の動きは慎重で、まるで誰かに見られていることを察しているかのようだった。しかし途中で、彼は突然視界から消えた。


「見失った……!」周囲を見回しても、彼の姿はどこにもない。


「こっちだ。」


闇の中からイモケンピが手招きしていた。その悪魔じみた笑みが、暗闇に浮かぶ。


「この中に入っていった。」


イモケンピが指差したのは、商店街の外れにある無人の小さなビルだった。一見してただの廃墟にしか見えない建物だ。だが、何かがある――そう直感した私は、イモケンピとともに中へ足を踏み入れた。


ビルの中は荒れ果てており、棚や椅子が散乱し、薄暗い空間が広がっていた。階段を上りながら、廃墟独特の湿った臭いが鼻をつく。


「2階も何もないな。」


イモケンピが言い、私はさらに上階へ向かおうとした。


その瞬間、背後から落ち着いた声が響いた。


「それ以上は行かない方がいい。」


振り返ると、そこにカリドゥスが立っていた。彼の青白い肌が、薄暗い空間の中でぼんやりと光っている。


「ここで何をしている?」

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