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第50話 サイレント・ストライク

山間部に位置するこの町。霧が立ち込める早朝、ヴァルハラ隊の偵察チームから緊急の連絡が入った。


敵の潜入部隊が残した残骸を調査していると思われるドローンが周辺を飛び回っているというのだ。


私は、すぐに地図を確認した。敵が再び動き出す兆候――放置すれば、この町は危険にさらされる。


私は彦作に連絡を取りレイナの基地へ向かった。


「レイナ、どうする?」


レイナの目は冷静だが、わずかな緊張が伺える。


「撃墜する。だが、撃墜する前に連絡されるだろう。このままでは位置を特定される可能性がある。」


レイナは計画を頭の中で組み立てていた。


「この地域で飛び回る敵ドローンは監視モードで移動が遅い、局地的な電波妨害を仕掛け、その隙に撃墜する。ただし、妨害は60秒が限界。その間に決着をつける。」


私たちは中継地点として適切な場所を探し、郊外型のスーパーマーケットを拠点とした。広い駐車場は滑走路の代わりにもなりそうだ。周囲は木々に囲まれ、敵から視覚的に隠れるのに最適だった。


無線の電波でドローンを引き付け、エンゲージメントエリアへ誘導し、電波妨害と煙幕で敵の視覚を奪い、そこで、超低空で侵入した戦闘機でドローンを撃墜する。


「電波妨害と煙幕でミサイルは使えない。目視による機銃攻撃のみ有効だ。」


彦作の表情はいつものぶっきらぼうなものだが、どこか自信に満ちている。


「魔女の誘導次第だ。俺は確実に仕留める。」


レイナは静かに頷いた。




夏の夕暮れは、空気が肌にまとわりつくほど重かった。山間部を包む湿気が、静けさの中に張り詰めた緊張感を高めていた。日が沈むにつれ、空は茜色から深い群青へと移り変わり、蝉の鳴き声も徐々に遠ざかっていく。その静寂を破るように、作戦が始まった。


彦作は基地の滑走路でタイガーⅡ戦闘機に搭乗し待機していた。彼の手は操縦桿にしっかりと置かれ、顔には決意が滲んでいる。無線からレイナの冷静な声が届く。


「敵ドローン接近、距離3000。」


「ウィッチナイト、作戦開始。」レイナが指示を飛ばす。


「こちらウィッチナイト、了解。」


彦作は応じると、すぐにエンジンを始動させ、滑走路代わりの駐車場を駆け抜ける。暗闇の中へ機体が吸い込まれるように飛び立った。


「電波妨害、開始。」


レイナが指示すると同時に、モニターに妨害範囲が表示された。


「ウィッチナイト、60秒カウント開始。」レイナの声が響く。


「ウィッチナイト、了解、カウントを開始する。」


彦作は視界を夜間用ゴーグルで補いながら、低空飛行でエンゲージメントエリアへ向かった。

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