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第34話 大地に選ばれた者

レイナは戦場でその力をいかんなく発揮していた。地形、気候、戦力差――彼女はあらゆる要素を「見通し」、それらを駆使して敵を翻弄する。戦略だけでなく、彼女が「大地」とつながり、自然界の力をも味方につけているのだという噂は、もはや否定できなかった。


「彼女の戦術は、ただの計算や経験だけではない。」


イモケンピが低く呟く。


「大地そのものの声を聞いているのだろう。だからこそ、部下たちにとって彼女は信仰の対象となる。」


ヴァルハラ隊の兵士たちは、彼女をただの上官としてではなく、信仰の対象のように見ている。彼女の指示に従えば、どんな状況でも勝利を手にできるという確信があるからだろう。


「あれが本物の指揮官だ。部下は彼女をただの命令者ではなく、信頼と敬意の象徴として見ている。あのように崇拝される指揮官は、悪魔ですら滅多にお目にかかれない。」


イモケンピの声に、普段の皮肉めいた響きはなかった。


私はその言葉を聞きながら、彼女が去っていく背中を見つめた。


「また話をしよう。」


それだけを言い残し、彼女は兵士たちとともに基地の奥へと姿を消していった。




レイナが去った後、イモケンピがふと真剣な表情を見せた。


「あの魔女、悪魔との関わりを持たない純粋な魔女だな。この世界の大地とつながっている本物の魔女だ。」


「本物の魔女……?」


私はその言葉を繰り返した。


「そうだ、この世界の草木、気候、天文を熟知し大地そのものとつながっている。悪魔や神の干渉を必要としない、純粋に地球に根差した存在だ。」


「神のような存在?」私は眉をひそめた。


「いや、神ではない。」


イモケンピは首を振り、ゆっくりと続けた。


「この大地の使役者であり、大地の代弁者と言った方が近いかもしれない」


「大地の使役者か……。」


その言葉の響きに、私は思わず感嘆の声を漏らした。


イモケンピが少し微笑みを浮かべながら続けた。


「その力があるから、天才的な戦術を展開できるのだ。そして、彼女が魔女であることを知れば、敵も味方も恐れ敬う。彼女はそれほどの存在だ。」


私はふと考えた。


「でも、彼女が大地とつながっているとして、それは本当に人類を救うためのものなのか?」


イモケンピが意味深に笑った。


「それはお前が見極めることだ。彼女の目的が真に地球のためなのか、それとも彼女自身のためなのか――。」


その言葉に、私は胸の奥にかすかな疑念を抱いた。果たして、レイナ・ヴァーゴという魔女の真の目的は何なのか。そして、彼女が抱える使命は、私たちの未来にどのような影響を及ぼすのか。

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