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第23話 極秘通信

翌朝、司令部から送られてきた膨大な資料の中に、私宛の暗号化されたファイルがあった。他の誰にも解読できない、完全に個人向けの極秘通信だった。


「これは……?」


胸がざわつく。デバイスに接続し、解読プログラムを立ち上げると画面に現れる文字列が、次第に意味を持つ文章へと姿を変えていく。


「これは……何?」


そこに記されていたのは、私が知らない情報――敵の母船の内部構造図と、乗員の配置リスト。トラプトニアンの来訪から戦争に至るまでの経緯。さらに、私自身の過去に関するデータも含まれていた。


その中に気になる文書があった。


「南米交渉事件とトラプトニアンの真相」


ファイルを開くと、整然とした文体で驚くべき情報が並んでいた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――


南米交渉事件とトラプトニアンの真相


トラプトニアンの接触

トラプトニアンは100年以上前から地球と接触。目的は母星再建に必要な資源(特に水)の提供を求めること。

彼らは友好的であり、技術提供を交渉材料とした。


3年前の銃撃事件

南米の極秘施設で行われた多国籍交渉中、各国の首脳が集まり、トラプトニアンの国王が参加した。会議中、トラプトニアンを支配下に置きたい思惑のあるものが国王に向けて発泡。代表団にはアメリカ、イギリス、日本、中国など主要国の高官が含まれていた。


発砲事件の首謀者

現在の地球防衛司令部のリチャード・フレイザー統合司令官および副官ヴィクター・クレイド。

トラプトニアンの王は交渉を終えて高速艇に乗る際、待伏せしていた兵士数名によって銃撃された。護衛を含む10名のトラプトニアンも殺害され、高速艇は接収された。


戦争の始まり

王が殺されたことにより、トラプトニアンの統制が一時的に狂い、強硬派が戦闘を仕掛けた。


レプリシアンの異常

トラプトニアンが作り出した複製人間「レプリシアン」は命令遂行型の存在。しかし、地球到達後、一部が自由意志を獲得。

トラプトニアンの支配に抗う動きを見せ始めている。


技術の供与

トラプトニアンから提供された技術により、地球の科学は過去100年で急速に進歩。地球人はその代価としてたったバケツ一杯の水しか与えなかった。




私はトラプトニアンとの和平を望む。彼らを敵に回したのは一部の地球人の愚行によるものだ。

あなたに協力を要請する。共に地球を救う選択肢を探ってほしい。


山田 瓢六


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「山田 瓢六……誰だ?」


その瞬間、胸の奥で何かがざわつく。これは単なる内部告発か、それとももっと深い陰謀の一端なのか……。

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