神
神を演じ疲れた男を抱いて、「ほんとうのかみさま」を見上げる。
男は神になりたかった。愛されるのでは足りない、崇拝されたかった。
たゆまぬ努力と高い適性が、彼を望む位へと押し上げた。彼の一挙手一投足が注目を集め、彼の紡ぐ幻想は人々を熱狂させた。彼は望み通り、多くの人々に愛され、崇められた。
私はそんな彼に仕えていた。
神でないと知り、崇めることなく、けれど人として愛するでもなく仕えていた。
彼ではない、彼が演じる、真似ようとする「ほんとうのかみさま」に近づくために彼を利用していた。
人々の崇拝は彼を輝かせた。熱狂が深まるほどに、彼はますます輝きを増した。
けれど輝きが増すほどに、彼は疲れ果てていた。
人々の視界を離れた途端、彼はその場に崩れ落ちる。色を失った肌に浮かぶ冷たい汗をぬぐい、重い体を抱え上げるようにして、私は彼を運ぶ。
もはや「彼」自身は消費されつくし、今の彼はただ人々の熱狂のエネルギーによってのみ無理やりに動かされているにすぎないのかもしれない。
いよいよ人々の熱狂をもってしても動くことが困難なほどに彼が消耗しつくしたある日、「ほんとうのかみさま」が降臨した。
見上げるほどに巨大なその姿は朧に光り、ただ静かに佇んでいる。
人を熱狂させず、人に何も告げず、人に何も求めない。
ただそこに在るだけで、けれど確かに「何か」を振りまいている。
人々は静かに首を垂れて膝をつく。「ほんとうのかみさま」を中心に、静けさと平穏とが拡がっていく。
私はかみさまのもとへは行けない。
かみさまに近づくために、ただそれだけのために彼に仕えていたはずなのに。
頽れた彼を膝に抱いて、首を垂れた人々よりも高い場所から、ただじっとかみさまを見上げていた。
・・・ネタバレ?
夢の中で「彼」と「かみさま」は某バンドのメインボーカル2名でした。
消耗しつくした「彼」の肌には壁紙のようにカエル柄が浮かんでおりました。




