還る場所
目覚めると
何故か涙が流れていた
頬に一筋の温もりを感じたが
それはすぐに乾いて消えた
身動ぎで目を覚ました君は
呆然と座り込んだ私を見つめ
怪訝そうな表情を浮かべた後
何も言わずに私を抱きしめた
頬を伝った温もりよりも
優しく柔らかな温もりに包まれ
また、涙が一筋溢れる
自分でもわからないこの感情は
君の温もりの中で
溶けて
弾けて
空に還って…
体を包む温もりが
体内に染み渡るように広がるのを感じて
私は、そっと君の背中に両手を回した
この温もりが逃げていくとは思わなかった
ただ、この温もりをもっと感じたかった
そうして、不意に、
あぁ、
この幸せな時間に
還ってきたのだと
なぜか、そう感じた
最後までお読みいただきありがとうございます
目覚めたときに
不意に発した感情を持て余すことがあります