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私の一人目の母②

今回もお母さん視点です。


途中、非常につたない英文が出てきます。

英作文に挑戦してみたかっただけですので、「ちょっと何言ってるかわかんない」時は括弧内の方を読んでください。


本当はもっとネイティブに近い英語が話されています。

娘があたしの論文や蔵書をあらかた読破したのは八歳の時だった。

彼女は特に医学、生物学、化学に興味を持っていた。

当然かもしれない。

あたしの蔵書は全て医学や生物学、化学に関するものだったし、医局にいた時に書いた論文はだいたい神経伝達に関する論文だったから。


娘は四歳の頃からあたしの蔵書を漁っていたが、当初、読書は遅々として進まなかった。

つまり、彼女には圧倒的に基礎的知識が欠けていたのだ。


あたしは娘が起きていてあたしの手が空いているとき、娘に自分の持つあらゆる知識を教えることにした。


"Today's question!

Ta------da!

The government reformed the system, and now people who became 18 can vote.

Why did the government lower the age?"


(さて、今日の問題です。

ジャーーーーーージャン!

最近、選挙権を持つことができる年齢が十八歳に引き下げられました。

何故、選挙権を持つ年齢が引き下げられたのか?)


娘はこてん、と首を傾げ、唇を尖らせながら一生懸命考えている。


"Well……it's because politicians want to introduce some new ideas, isn't it?"


(えーと、政治家が新しい考え方を国政に採り入れたいから?)


"Wonderful! That's true.

In addition, one of the largest reasons is for fairness.

The birth rate in Japan is decreasing, while the number of old people is becoming larger.

To keep proper population rate, the government had to change it."


(素晴らしい!正解です。

付け加えるなら、もっとも大きな理由の一つに、公平さがあります。

日本では高齢者の数が増加している一方、出生率は低下しています。

選挙権を持つ人のうち、高齢者と若者の数の比率が適切なものになるよう、政府は調節したんです。)


つまり、少子高齢化の日本では有権者のうち、高齢者の割合が非常に高い。

すると高い世代の民意が多く反映されることに繋がるのだ。

だから、より広い世代から意見を採り入れるために選挙権を持てる年齢が引き下げられたのだ。


「へぇー、そんな理由もあるんだ。

世代間での不平等もそうだけど、性別での不平等もあるんでしょ?女性の議員が海外と比べて極端に低いって聞いたよ?」


「よく知ってるわね。その通りよ。

昔は日本にも女性蔑視の風潮があったからね。そのせいで女性が立候補しにくかったり、立候補しても叩かれたりしていたからね。そんな向かい風のなかでも立候補する人はなかなかいないのよ」


あたしは自分の医局での経験を思いだし、はぁ、と溜め息をついた。

少なからず理不尽なことを言われた。

セクハラもされた。


ぽすっとあたしの膝の上に重たい感触があり、あたしの髪をすいた。


「頑張って」


言われなくても。

そう思った。

あなたがいてくれる限り、あたしは頑張り続ける。

あなたのためだと思えば大体頑張れるのよ。


「…ありがとう、頑張るわね」


「うん、頑張って、お母さん」


あたしは何故か感情が昂って、娘のうなじに顔をうずめ、すんすんと息を吸ったのだった。

ミルクのような匂いがした。

初めて選挙に行きました。


自分が通っていた小学校の体育館が投票場所で、思ったより「厳正な雰囲気」みたいなものが無く、少し拍子抜けしました。

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