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犯罪の取り締まり②

今回は、ルビスコ王国併合後の話です。

第三魔法師団の女性団員のアルマイトが語り部です。

私は若干、記憶を失っているみたい。

エチン辺境伯領への応援に出発する直前から昨日まで、記憶がごっそりと抜け落ちているのだ。

だからみんなが「アルマイトはよく戦っていたよ!」と言っていても、まるで自分じゃない人の武勇伝を聞いているようだった。


私は今、仲間と共に帰りの馬車の上にいる。

旧ルビスコ王国との戦いが終わった二日後らしい。

私が乗っているのは、馬車と言っても貴族用のものではなく、馬に引かせたただの荷車だ。

行きは意気揚々と行っていたのだけれど、王城への帰還は誰も口をきかん。


私はただ「酔うから」という理由で顔を上げ、窓の外を見ていた。

他のみんなはぐったりと、あるいはぐっすりとしている。

(みんなとは言うが、この馬車は六人乗りだ。そしてこの車両にいるのは全員女性だ)


何もしないでいると、自分の身体の方にばかり意識が向いてしまう。

隊服の裾が少し破れている。

靴に泥がこびりついている。

服はよれてシワができている。

さすがに血はついていないけれど、全身がたった数日でくたびれてしまったかのようだ。


自分の疲弊ぶりを見る限り(私がどんな風に戦ったのかは覚えていないけれど)、とても活躍したのだろうなと思う。

言い換えたら、たくさんの人を殺したのだなと思って、やっぱり眠れそうになかった。


「あなた、まだ起きているの?

寝ていてもいいのよ?

王都到着まで一週間以上かかるのだから、戦いで疲れた身体を癒してほしいわ」


ぼーっとしていると、御者の女性が優しく声をかけてくれた。


「ありがとうございます。

でも、あまり眠れないんです……」


私が正直に答えると、彼女はポケットから「アルクヒト」を取り出した。

彼女は少し集中した様子で「アルクヒト」に手をかざすと、そこから子守唄が流れ出した。


「子供の頃のロサ様が口ずさんでいたという、あの有名な子守唄よ。

幼い頃、ロサ様はなかなか眠ろうとしない現国王様を何度もこれで寝かしつけたそうですよ。

どうぞ、これを聞きながらだったら眠れると思いますよ」


そんなことあるわけない、今だってこんなにも意識が冴えているのに。

そう考えたが最後、私は深い夢の中に落ちていった。




『アルマイト、もうそろそろ起きてほしいのだけれど……』


ロサ様の声が聞こえたような気がして、私は慌てて目を覚ました。

上体を起こすと、誰かが肩にかけてくれていた厚めの布がずりっとずり落ちた。

外はすっかり暗く、馬車の中にいたはずの他の女性団員の姿も、御者の女性の姿もない。


『アルマイトさん、あなた、第三魔法師団の団長になるき気はない?』


私は、かつてロサ様と一騎討ちした後の、ロサ様の部屋での出来事を思い返していた。(魔法師育成⑤参照)


『本当ですか!?嬉しいです!

……あ、でも、ホルマリン団長はどうなるのですか?』


『ホルマリン団長には学校の先生になってほしいなって思うの』


『確かに、ホルマリン団長は教えるのが上手ですからね』


私が首肯すると、ロサ様は両手の平を合わせてコクコクと頷いた。


『そうなの!

近々、魔法を、つまり自然現象を体系的に勉強する魔法学校を建てたいと思っているの。

そこでホルマリン団長には教鞭を取ってもらいたいわけ』


『では私は団長が抜けた後釜に座るということですね?』


『そうね。

それじゃあ、もう一度聞くわね。

エチン辺境伯領への遠征の後から団長になってくれる?』




私は今、その質問に答えた時の自信を失くしている。

私は一寸先も見通せず、夜の闇を眺めていた。

覚悟がない団員の話からこの話へ、ほとんど何も関連がありませんが、それは許してください。


最近頭がフル回転していて、高分子化合物を勉強していても植物ホルモンが気になったり、「扉は逆さまにしたら跳ね回る」や「道路は反対から読んでも同じ意味」のような言葉遊びを考えたりしてしまいます。


次の次までには第三魔法師団に焦点を当てた話には区切りを付けるつもりです。

なかなか活字離れできないです……

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