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幕間①

久しぶりのハウゼン視点です。

最近ロサがかまってくれない。


俺が朝目覚めても、ベッドにいないことが増えた。

俺が執務の合間にロサに会いに行っても、外出しているのか、毎度毎度「仕事中だから、少しお待ちになってください」と侍女から言われる。


昨日の夜だって、俺がネロと遊んでいてロサを誘っても「まだ終わらないの、ごめんね、また誘って」とやんわり断られる始末だ。


今日こそはロサとの時間をとりたい。

俺の全ての細胞がロサを欲している。


俺は四時に起き、今日も隣にいないロサを探しに廊下に出た。


そう、ロサが行きそうなところは、全く予測不能だ。


執務室にいることがまず少ないし、昼食のときもローズや侍女たちと一緒に侍女たちの部屋で食べていることがある。

午後こそ執務室にいるだろうと思っても、城下の工房で新しい製品を作っていたりする。


書類の束を持った勤勉な公務員がお辞儀して、俺が通りすぎるのを待っている。

俺はあえてその公務員の前に立ち止まった。

俺はロサの居場所を知りたかった。

ビクッと肩を震わせて、いっそう深く頭を下げる。


「顔を上げよ。そんなに畏まらなくてもよいぞ」


公務員は顔を下げたままゴニョゴニョと何か言っている。


「そうは言われましても……

最近ここに来た新参者と国王様とでは立場が違いすぎるといいますか……」


今は立場がどうこうということを咎めるつもりはないので、早く、ロサがどこにいるのかを知りたい。


「おい、顔を上げよ。それ以上畏まったら不敬にするぞ」


早く答えてほしくて、少し催促したときだった。



「ハウゼン様、そのくらいにしてやってください。

ほら、あなたも行っていいわよ、今日もご苦労様」



急いで後ろを振り向くと、そこに、愛しの細君がいた。


ロサは普段着だった。

シャツのボタンを一番上まで留め、スリッパを履いている。

俺以外の男に鎖骨だったり、おへそだっり、太ももだったりを見せまいとして礼儀正しく服を着ているのだろうと思うと、とても愛おしく感じる。(※別にハウゼンのためではない)

とはいえ、まだ四時だ、少し寒そうにしている。


俺久しぶりにロサと話せたことに、感慨を覚えたが、まずすべきことがあった。

今の時間帯に寝間着ではなく普段着を着ていることから、昨日も寝ていないのだと容易に予想がついた。


「スリープ……少しの間寝なさい」


俺がついこの前発明した催眠魔法をロサにかけ、膝から崩れ落ちた彼女を両手でしっかりと受け止めた。




「おはよう、かわいい寝顔だったよ」


数刻して半目になって目を覚ましたロサに、つい思ったことをストレートに伝えてしまった。

ロサはつぶらな目を思い切り開き、口をポカンと開けた。

いつの間にか眠っていて他人のベッドに寝転んでいることに気づいて動揺したのだろう、可愛らしい口からこぼれる言葉は文章の形をなしていない。


「えっ、あれ、えっ、ここ、さっきまで、なんで」


「ここは俺たちの寝室で、俺がここまで運んできた。

この前、催眠魔法を開発してね。

その実験台になってもらったんだ。

ロサ、最近寝てなかっただろう?」


不眠不休で働くことは良いことではない。

睡眠は身体の疲労回復だけでなく、記憶の定着や精神的余裕を生むために必要なことだ。

と、子供の頃にロサが言っていた。


自分で言っていたことと矛盾する行動をとるなんて、ロサらしくない。

そしてロサが今のようなゼロ時間睡眠を続けるならば、近い未来、必ず身体を壊す。


「ロサ、お前の身体が心配だ。

夜はちゃんと寝て、もっと自分を大切にしてくれ」


そう言うと、ロサは一瞬顔を歪め、すぐににっこり笑って言った。


「Thank you a lot」

毎日を楽しく過ごすことは、必ずしもいいことじゃありませんね。

一般入試とは違う形式の入試を受けようと思っているのですが、志望理由書に書けるような、「これについてならいくらでも話せる」ようなことがありません。

将棋、読書、ボルダリング、DNA、植物、無機、有機、英語。

これくらいしか興味のあるものがなく、どれについても詳しくありません。


高校二年の時自分は何してたんだろう、なんて思ったりもします。

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