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戦争は子供の顔をしていない②

今回も心根が腐っている団員視点です。


この男はただ目の前のことから逃げているだけですから、感情移入せず、もう一人の男の子の豹変する様に注目してください。

作戦当日となった。

今日、ルビスコ王国が攻めてこなければ、こちらから攻勢に出る手筈だ。


戦線からの離脱経路も頭の中に完璧にインプットされている。

大丈夫、僕は死なない。

というか彼女もいたことないのに、こんなところで死んでたまるか。



昼すぎ。

戦闘が始まった。

僕の居るところから離れた場所で爆発音や掛け声などが聞こえてくる。


僕は戦闘音が聞こえる方向と反対側へと歩きだした。

僕は最後尾にいたから、軍全体と違う動きをするのは容易だった。


五分ほど、のんびり歩いていたときだった。


前方に蹲っている男の子が見えた。

三角座りをして腕に顔をうずめて、どうやら泣いているようだ。

『チルドレンかもしれない』という考えが一瞬頭をよぎったが、チルドレンのような悪逆な人間が泣くはずがないと考え直した。


「君、どうしたの?ここら辺は危ないよ。

両親はどこへ行ったのかな?」


男の子の息継ぎが聞こえる。


「お兄さん、心配してくれてるの?

優しいね」


男の子は目を伏せたまま、口の端を少し持ち上げた。

僕はその表情を「戦争で両親を亡くし人生に希望を持てなくなった子供が、ないもかも諦めた後の虚ろな笑み」だと捉えた。


僕は男の子に手を差し出して


「お兄さんがお話聞くよ。

ほら、何があったの?話してごらん」


と頭を撫でようとした。

そのときだった。


「待って!」


つい一週間前にも聞いた、女性の声が聞こえた。


「その子供はチルドレンよ!」


突然現れたロサ王妃様が僕の首襟をむんずと掴み、後方へ大きく跳んだ。

ちょうどロサ様のお腹に僕の顔がうずめられる形で、頭を抱え込まれた。


「あれっ、ロサ様、なぜこんなところに?」


裏返った声が喉の奥から出てくる。

僕は自分が作戦に参加していないことがバレたのかと思った。

まさか王妃様が直々に僕に罰を下すのだろうか?


命令違反は少なくとも魔法師としての資格剥奪、最悪の場合(密告とかしたら)死刑だ。

僕はどうなっちゃうんだろう、こんなことになるなら少なくとも戦う意思くらいは見せておいた方が後々の罰も軽くなっただろうに、前線からだいぶ離れた場所にいるから言い訳できない……


僕が僕自身の今後を憂いていると、後ろから声が聞こえた。


「おいおい、いちゃつかないでくださいよ、ここは戦場ですからね」


慌ててロサ様の太ももから目線を外し、頭も少しだけ、ロサ様から離した。

ロサ様の手はまだ僕の頭の上に乗せられている。


「あーあ、この男でようやく百人目だというのに。

ロサ王妃、邪魔したツケは払ってもらいますよ。

あぁ、ロサ王妃を殺せば給料も倍増するだろうなぁ、嬉しいなぁ」


さっきまでの男の子は消え、ただの殺人鬼が背後にいるのを感じた。

尋常ではない殺気と、場数を踏んだ人独特の威圧感が、背中にビリビリと伝わってくる。


「女だからって容赦はしません。

あなたにはここで死んでもらう!」


後ろで、ダッと駆け出す足音が聞こえた。

ロサがエチン辺境伯領に来た理由はこの次の次くらいで説明します。

今回のロサは、クズな男の危機に颯爽と現れたイケメンです。



将棋をしたことがありますか?


自分は将棋ウォーズというアプリで指しているのですが、最近、『無敵囲い』を極め始めました。


無敵囲いは完全に名前負けの囲いであり、最弱の囲いともいえます。

しかし、その形は発展性に富み、稲庭戦法や鳥刺しの要領で戦うこともできます。

自分は一般人程度の棋力しか持ち合わせていませんが、無敵囲いは初見の相手に対しては有効な作戦になるので、高段者にも勝てます。


是非、研究してみてください。


(角道を開けず、4六の地点に角を移動させ、飛車のコビンを狙うこともできます)

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