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あたしと娘の死①

前世の話です。


当時、ロサは13才でした。

「ここで今入ったニュースです。

中東のシリアで大規模な紛争が起き、日本人二人を含む民間人が多数亡くなりました。


昨日十二時頃、シリア南東部の安全地帯で政府軍とISが衝突し、民間人はそれに巻き込まれた模様です。

安全地帯とは、国境なき医師団による民間人や傷病兵への医療の提供のために、2022年に政府軍とISが戦いを起こさないことに合意した地域のことです。

今回、安全地帯での戦いの勃発を受けて国境なき医師団本部は


『所属する医師とその家族が犠牲になった。全ての医師、看護師の安全が確保されるまでシリアでの活動を一時停止する』


というコメントを発表しています。


亡くなった日本人は○○◇◇さん??才と○○◇☆さん!?才の二人です。

○○◇◇さんは国境なき医師団に所属しており、安全地帯の病院に勤務していたそうです。


戦いは現在も続いており、民間人の安全が脅かされています。」





あたしが四十歳になったくらいの時だったろうか、あたしは国境なき医師団で働き始め、娘と共にシリアにいた。

幾年かが過ぎ、あたしは娘をつれて戦場の病院で働いていた。

娘には一人で寂しい思いをしてほしくないし、あたしの働いている姿を見せたかった。

(個人的に、親が楽しそうに働いている姿ほど子供の教育にいいものはないと思う)


娘は自由に育っていた。

傷病者を率先して介護することもあれば、病院にいる子供たちと一緒に遊んだり、あたしに勉強を教わりに来たり。

クルクルと動き、キャッキャッと楽しそうな様子はあたしだけでなく、他の医療従事者や患者の心まで癒していた。


そんな中、春だったか夏だったか。

とにかく長日植物が繁茂し出した頃、病院がにわかに騒がしくなった。


「北からISが、南から政府軍の戦車が接近しています!

ここで戦いが勃発することはないでしょうが、万が一のために気を付けておいてください!」


対立する二つの勢力がこの辺りに近付いているらしい。

協議によって定められた安全地帯で、しかも病院の近くで戦いを起こすことは、国境なき医師団の今後の支援に二の足を踏ませることになる。

ISも政府軍も何してくれてんのよ、と思いながら、あたしは少し眉を寄せて見上げてくる娘の頭を撫でた。


ドンッ!


しばらくすると、大きな音と共に衝撃波が届いた。

ガヤガヤとした病院内が一瞬で静かになった。

誰もが上を向いて、さっきの音の正体を探ろうとしている。

誰かが呟いた。


「……おい、今のって…………」


ドンッ!



「………マジで始まったじゃん!」

「逃げないと!大砲の玉が飛んできたらすぐにここら辺り全て更地になるぞ」

「傷病者はどうする?歩けない奴らばかりだぞ!」

「どの方向が安全なんだ?どっちに逃げたらいい?」

誰もが口々に言い合い、蜂の巣をつついたようだ。

このままじゃ収拾がつかない。

「最優先は患者たちだ」と言おうとした矢先、


「静かにしろ!」


低い良い声が響いた。

地理の授業で民族紛争や宗教対立について勉強しました。

シリア、チェチェン共和国、ルワンダ、キプロス、イスラエル、スリランカ、朝鮮半島、スペイン、そしてウクライナ。

世界中に火種があり、核戦争になれば、いつ人類が絶滅してもおかしくありません。

核兵器は英語で "ultimate weapon" と言われるくらいですから、世界を壊すのに高々数十発程度あれば事足ります。

アメリカ、中国、日本、ドイツ、ロシアなど、世界に大きな影響力を持つ国の主要な都市に一発落とせば、その国は、そして世界はどうなるでしょう?

想像に難くありません。


しかし核兵器は「戦争の抑止力」という側面もあり、一概に廃絶が良いわけではないです。

戦闘機程度の兵器を持つ国同士ならば戦争は起きやすい。

しかし、一方の最高火力は戦闘機で、もう一方の最高火力が核兵器なら?

戦闘機しか持たない国が核兵器保有国に戦争を仕掛ける難易度は大幅に上がる。

逆にロシアは核兵器をチラつかせて他国の介入を妨げることができ、戦線は拡大しない。


万が一のために廃絶させるのか、現状を悪化させないためにあえて保有し続けるのか。


自分は核兵器廃絶には反対だけれど、数は減らすべきだとは思う。



すみません、あとがきの方が本文よりも長くなりました。


……自分の考え方ってサイコパスなのかな?

まぁいいや。

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