戸籍制度
戸籍を作ります。
日本では区分田の頃にすでに行われていたことを今更ながらやります。
私はエテンさんが作った問題集の出来にある一定満足していた。
売れ行きも好調なようで、特に農村で、食いぶちを減らすために都市へ出たい若者に多く売れているようだ。
一方、私は私で忙しくしていた。
領地を持つ全ての貴族に住民全員の戸籍を明らかにするのを命じると共に、王家直轄領でも戸籍を作成していたのだ。
戸籍を作成するとき、名前、年齢、性別、民族、職業など、様々調べることがある。
戸籍を整理したのには三つの理由がある。
学校に通うであろう子供たちの人数を大まかに知っておきたかったことが一つ。
もう一つの理由は、最近の国際情勢にある。
YSと呼ばれるテロ組織が勢力を拡大しているのだ。
YS(Yellow turban States)が度々、北方から我が国の領土を侵犯しているのだ。
この間、結婚八周年パーティーのときに挨拶してくれたエマ·エチンさんから応援要請が届いた。
『ロサ王妃様へ
エチン辺境伯長女、エマ·エチンと申します
この度はご結婚八周年パーティーにお招きいただきありがとうございました。楽しい時間を過ごさせていただきました。
さて本題ですが、我がエチン領にYSからの工作が頻発しています。
領内に何人も工作員が紛れ込んでおり、一般人との区別がつきにくく、対処が遅れております。
どうやら隣国のケトン王国と手を組んでいる模様で、我々の人員だけでは人が足りません。
人を派遣してください。
騎士や魔法師ではなく、諜報が得意なものや暗殺が得意なものならなお嬉しいです。
彼らと共に敵の頭を潰します。
よろしくお願い致します。
ミュンヒ王国とロサ王妃様に永遠の幸あれ』
当然のように王家への賛辞で締め括られた手紙に、「諜報と暗殺を寄越してほしい」と書いてあったのだ。
もちろん、すぐに派遣した。
事態がより深刻にならないようにまとめてくれればいい。
つまり、各個人の戸籍を確定することで、エチン辺境伯領での工作員と一般人との判別をつけやすくさせてあげたいのだ。
そして最後に、個人的にもっとも大きな理由。
それが
私と一緒に転生したはずのお母さんを探しだすことだ。
ロサは前世において父親がいません。
お母さんっ子なので、転生してもお母さんの姿を探しています。
人探しの魔法はないのでしょうか?
あったとしても、お母さんをピンポイントで見つけ出せるかは疑問だし、そもそもお母さんはこの世界に転生しているのでしょうか?
ロサは信じているようですが。