妖精王とピットの雑談
「すまなかったな。その短剣を持ってきたのに妖精王に会わせることができなくて」
「いや、いいですよ。別に用事があってきたわけではないですし」
「またぜひ寄ってくれ。その時はまたブラッドボアの肉を持ってな」
ピットや他の妖精たちとかなり仲良くなることができた。
俺が妖精のはちみつ酒を傘からだせることを知った妖精たちはずっとこの国にいて欲しいと言われたが、俺は旅に戻ることにした。
イブキの目も治してやりたいのだ。
それをピットに伝えると、
「目の治療には、光の妖精が治療薬を持っていると聞いたことがあるぞ。光の妖精は天空の島スカイポルンの泉のまわりに住んでいるという話だ。天空の島へ行くにはここからゴルドノームの村をこえた先、モガッチョの街からペガサス便がでていたはずだ。光の妖精にあったらぜひ妖精のはちみつ酒を飲ませてやるといい。みんな酒好きだからな」
「ありがとうなピット」
「お安い御用ですよ。またいつでもきなさい」
ピットは俺たちに手を振りながら見送ってくれた。
◇◇◇
「やっと行ったか」
「ロイ様今までどこに隠れていたんですか?」
「執務室の隠し扉の裏だ」
テルたちが帰ったあと妖精王ロイとピットは話をしていた。
「ピットは気が付いていたんだろ?」
「ロイ様も気が付いて逃げていたんですよね? 本当にヒドイ妖精王だこと。あの……」
「雷帝二角」
「異世界勇者」
「えっ?」
「はっ?」
「異世界勇者って人間の?」
「雷帝ってあの伝説の?」
二人の妖精はお互い頭を抱えるようにうなだれる。
「ピットお前から話せ」
「あの男が持っていた傘というのは異世界勇者の武器です。私の鑑定の魔法で鑑定しようとしたところ、弾かれましたから。あんな武器を持っているのは勇者クラスじゃなければありえません。雷帝というのは?」
「あの羊だ。あれは一角から生まれた伝説の魔物二角だ。雷の魔法とか使えるとか言ってたか」
「使えるって言ってたどころか、宴会の余興で足に雷魔法の力で高速移動してました」
妖精の王はため息をつく。
「ピットそこで気が付くべきだぞ」
「そんなことを言われても」
「しかしまずい。世界最大の力を持つ勇者と二角が手を組むなんて世界の危機と言っても過言ではないぞ」
「まぁとりあえずこれでも飲んでください」
「なんだこれ? ん! 美味いなこれ」
「勇者が作った妖精のはちみつ酒です。こんな美味しいものを作れる勇者が危険なわけありませんよ」
「確かに」
「考えるだけ無駄です。それにあの短剣を持っているうちは正義とか悪とか関係なく味方になるしかありませんから」
「それもそうだな」
妖精王は勇者が作ったはちみつ酒を飲んですべてを忘れることにした。
考えるだけ無駄なことは考えるだけ無駄だ




