表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/56

旅立ちの朝

 その日俺は太陽と共に起きた。


「うーん! 旅立ちにはちょうどいい天気だな」

 俺の髪の毛にひっつくようにニクスが寝ている。

 絶対俺の頭を鳥の巣か何かと勘違いしている気がする。


 部屋の中を見回すと、すでにイブキが簡単な料理をすませ最後の片付けをしていた。

 異世界にきて初めての拠点だったから少し寂しい気もする。


 でも、数カ月は生活できるだけのお金は稼ぐことができた。

 少し旅をしながらこの世界を見て定住できる場所を探してもいい。


 魔王とかには絡みたくはないが、もし可能ならタニア姫を探したい。

 この世界にはポーションという魔法の薬がある。

 どんな傷でも治ってしまう薬があるくらいだから、怪我をして逃げたといっても死んだとは限らない。


 王国の兵士たちが血眼になって探しているのに見つからないということは、もうどこか他の国へ逃げた可能性もあるが……。

 行った先で姫の情報も聞いてみよう。


 イブキと一緒に朝食をとり、ニクスにはポーションを与える。

 ニクスは他の餌よりもポーションの方が好きなようだ。

「ピヨヨヨン」

 ニクスはおしゃべりが好きなようでいつも何かしゃべっている。

 もう飛べるようになったようで、俺の頭に乗ったり、イブキの肩に乗ったり大忙しだ。


「さて、そろそろ行こうか」

 イブキは頷く。俺は傘と短剣を持ち、イブキはニコバアから貰ったバックを持ってもらう。

 バックは中に色々な物が入る割に軽く負担は少ないからだ。


 熱鉱石なども鞄の中にしまったので、これがあれば旅の途中で土魔法で地面に穴を掘って石を敷き詰め水をはればお風呂にも入り放題だ。

 なぜかこの世界にきてお風呂のことばかり考えている気がする。

 でも清潔にしておくことでかかる病気のリスクは減らせるのでよしとしておこう。


 最後にニコバアの雑貨屋へ顔をだす。

「ニコバア、色々ありがとうございました。この村で最初に出会えたのがニコバアで良かったです」


「なに言ってるんだよ。私だって荷物持ちやってもらって腰までなおしてもらったんだから。あんたがこの村に来てくれて喜んでいる奴はいっぱいいるよ。身体の不調を訴えていた奴は多かったからね」


「少しでも喜んでもらえたなら良かったですよ。あとこれポーションを作成したのでよかったら使ってください」

 ニコバアは嬉しそうな顔をしたあと、ちょっといたずらっ子がするような笑顔で俺に聞いてくる。

「素人が作ったポーションなんて大丈夫なのかい? お腹壊したりしないかい?」」

「大丈夫ですよ。なら俺が1本飲んでみますから」

 

 俺はポーションの蓋をあけいっきに飲み干す。そして、

「うっ……腹が……」

 急に腹を抱え込み苦しむフリをする俺。


「大丈夫かい?」

 ニコバアがまったく心のこもっていない感じで声をかけてくれる。

 イブキは急に俺がお腹を押さえて苦しみだしたので慌ててお腹を触りなでてくる。くすぐったい。


「イブキ大丈夫だよ。ちょっとした冗談だから」

 イブキがこんなに心配してくれるとは思わなかった。


 イブキはなぜか思いっきり俺の肩を叩き、頬を膨らませている。

 ちょっと可愛いなと思ったので膨らんだ頬を人差し指で押したらさらに怒られた。


「あんたたち本当に仲がいいね。この腹痛をおこすポーションはもらっておくよ」

「どうぞ、どうぞ。素人が作ったものなので気休めくらいですが、ないよりはマシだと思いますので5本もおいておきますね」


 俺はニコバアにポーションを渡す。ニコバアは大事そうに受け取り戸棚にしまった。

「まぁ慢性的な腰の痛みが治る水を原料にしてるんだろうから、作る人間の腕はダメでも効果はありそうだねぇ」

 ニコバアはそんな悪態をついていたが目からはうっすらと涙がこぼれていた。

 意外とニコバアは涙もろいようだ。


 俺はニコバアの前に手をだす。

「また会いにきますね」

「あぁ楽しみにしてるよ。本当に短い間だけどあんたらと会えて楽しかったよ」

 ニコバアは俺の手を握ったが年齢を重ねているとは思えないほど力強かった。

 俺から手を離したあと、今度はそのままイブキのことを優しく抱きしめる。


「イブキこれからも大変なことは沢山あるだろうけどね。負けるんじゃないよ。辛い時は全部テルに任せちゃえばいいからね。テルは意外とできる子だから、絶対なんとかしてくれるからね」

 イブキは大きく頷いている。イブキも少し泣きそうになっている。


「テル、イブキを泣かせたら容赦しないからね」

「わかってるよ」


「ニクスも元気でやるんだよ」

 ニクスはニコバアの頭の上を一周飛んだあと、ニコバアの肩にのって頬に優しくキスをする。

 ニクスお年寄り相手とはいえ、どこでそんな高等技術を習った。

 俺にも教えて欲しい。


 こうして俺たちの冒険がはじまった。

 俺たちの旅はまだまだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうで連載中の『テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件』が宝島社様より書籍化しました。2020/3/12 発売予定です。 こちらも応援よろしくお願い致します。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ