7月雑記⑩光と影
※闇堕ち回が悲しい人は下の方にダイジェスト版があります
さて。
結論から言うと、この作品はジャンル別日間2位だった。
見直しをして、「もうこれで行こう」と判断して、投稿する。
最初はテレワークをテーマにしていたので、タイトルは「テレワーク聖女」だったが、投稿直前になって「働き方改革」の方が頭に浮かんだので、これは幸先が良いなと思った。
自分の中でしっくり来るタイトルがあるかどうか、というのは結構重要な事だと思う。
テーマ、状況を鑑みて、前回より良い数字が取れる……と判断した。もっと言うと、表紙を狙うつもりがあった。直近で出した作品は5位、7位、36位なわけだから、流行ど真ん中の短編で出す以上、もっと良い順位が取れて当たり前だと思った。
これで読まれなければ、本当に上に行く事はままならないだろう……そのくらいの気持ちだ。
最初の数時間で500ポイントほどになった。P Vの数字が400後半あったので、まあいけるだろう、と思った。
ふと、4月の上旬、日曜日のことを思い出した。生まれて初めて500ポイントを獲得して、私は喜んでいた。数ヶ月前なのに、その時の自分がずいぶんと若く感じられた。
500ポイント。まるでカバンの底から500円玉を拾い上げた時みたいに、楽しい気持ちだったように思う。
テンプレを意識すれば、ランキングには確実に入るところまで来た。自分も、ずいぶん生意気なことを考えるようになった。
いつもはランキングから落ちていくまで見守るのだが、1位の差とポイントの伸びを考慮して、普通に無理だと悟った。もっと言うと、その前の表紙入りするまでの推移を見てダメだと思った。爆発力が足りないのである。
興味を失った。なんとか表紙には入ったが、かつてのブチ抜くような手応えは全く感じなかった。
2位じゃダメだ。3、4、5ならいい。2位と言うのは、がっかりする。私は自分がそう思っていることに初めて気がついた。
たった1日、たった数時間の順位に振り回されるなんて、バカバカしい。本当に大事なことは、そこにはない。
でも、私は知っている。ほんのちょっとだけでも、スコーンと抜けるような「もう上には誰もいないんだ」と感じた瞬間の空気を知っているからこそ、忘れられないのだ。当時はただ不安があったが、今になってあの時の幸せを感じとるなんて、皮肉な話である。
ポイントは5桁を超えた。でも、満足できなかった。みんなはもっとインフレしているじゃない。
コロナでポイント水準はものすごく上がっている。つまり、この作品だって昔なら1万に届かなかったかもしれない。
短編なら、連載より良い数字が取れると思ったが、そうではなかった。1万ポイントの壁をやっと抜けたあたりで、作品の寿命がきて、急激に萎んでいった。
テンプレの力を借りて、他人の力を借りて、連載から人を流して。
やる事は全部やって、今の私は過去のまぐれの私を超えられない。たった数ヶ月前の、ビギナーズラックが重くのしかかる。
私の書いた作品じゃ、ダメなんだ。やっぱりあれはまぐれだった。テンプレの短編で1位を取れないんじゃ、連載で人を惹きつけるのはもっと無理だ。
今までやってきた小細工なんてしなくても、読まれるものは読まれる。私がいけないのだ。
多分、この時の私はイケイケ状態に見えていただろう。何を書いてもそれなりに読まれて、とても幸運で、恵まれているように見えただろう。
自分の満足できる範囲がどんどん狭まっていく。100ポイント、ブクマ100件、1000ポイント、ランキング、表紙、10000ポイント……どこまで行っても、欲望には限りがない。そして、当然のことながら条件はどんどん厳しくなる。
楽しくない。なら、好きなのを書けば?──そうしたら、読まれないでしょう。あなたが読まれるのはテンプレの力であって、それがなければ見向きもされないよ。あなたが一番よくわかっているでしょう。半年前に戻りたいの?──余暇の大半を使うなら、やっぱり読まれたいよね?
そんな感情が、頭の中をぐるぐるする。連載は、あと数万字。その後、私はどこへ行こうか?
まとめ
聖女に押されて自分の悪役令嬢ものが押し流されている(ように見える)のが悔しい……!→ヨシ! 流行に乗ってテンプレモリモリな作品を書いてやる!→恥をしのんで他の人に見てもらおう!よっしゃいけるで表紙入りや!→表紙入ったけどなんか違うな→ガチテンプレ特盛でこのレベルか→お前それ傲慢すぎじゃね?→それはそうだけど、昔もっとポイント取れたんだから今はもっといけるはず!って思うじゃないですか→うるせえタコお前の作風が悪い→やっぱそうかもしれん→あかんテンプレオーバードーズでインフレしすぎてハードル上がりすぎてメンタル死ぬ→なにこいつざっこ……自分で自分に引く




