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漫画を描いた話

私の過去なので、創作論とは関係ないのですが。端的に言うと「過去にこのくらいの事があったから、今底辺作家で評価されてなくてもわりかし平気なんだよねー」と言う語りです。長いです。

 

「タピれない〜」にブクマが3件も増えていた。怖い。


「梶田がキモい」と言う感想を複数頂戴しておりますので、それが読者の総意かと思います。私もキモいと思っていますが、「キモくても頑張れば純愛になる(ただしイケメンに限る)」がテーマなのでもうこのまま行こうと思います。次に予定している作品のヒーローは普通の人だしね!



 「売り子をした話」をしようと思いますが、その前に。以前、そのモチベーションがどこから来るのか、との質問がありました。それについては、過去の経験が生きています。ちょっと前回の話と矛盾するところがあるんですけど。長くなるので分割します。


 私が超絶底辺作家でもわりと元気な理由。一つ目は「個人サイトや創作アカウントに比べたら、はるかに簡単に見てもらえている」から。「なろう」に投稿してる時点で、下駄履いている様なもので、実力以上には相手にされている。


 二つ目。「漫画より小説の方が向いていると、実体験を持って理解しているから」


 私は同人活動をしたことがないが、2019年までは絵を書いていた。アニメや漫画は与えられたもので満足してしまうため、そこから二次創作をしたい気持ちには全くならなかったけれど、いわゆる萌え語りや好きなキャラの絵を描きたいとはずっと思っていた。


 板タブや、絵の書き方の本、iPadとApple Pencilも買った。お絵かきソフトをダウンロードした。絵画教室に通った。絵は上手くならなかった。


 昔は大人気だったアニメのサブキャラの事が好きだったので、たまに落書きをTwitterに載せた。そうすると、フォロワーから5個ぐらいのいいねがつく。それで満足だった。


 絵がうまくはなりたかったけど、絵の練習は嫌いだった。3年ぐらいして、私は「絵を描くことが好きじゃない」と理解して辞めた。自分の力では、この練習量では、自分の思い描いていることなんて、いつまでたっても出力できやしないからだ。


 最終的には上達せず辞めたけれど、いろんな所に行きたくさんの絵を見て、美術館へ行くため降りたことのない駅を使って、知らない街を歩いた。油絵を書いて、展示会にも出た。美術予備校の大人コースの見学にも行った。それはそれで、楽しい日々だった。


 さて、私は結局絵を描くことを辞めたわけだが、たった一冊だけ同人誌を書いた。それは2018年のこと。


『fg○』と言うゲームがある。(伏せ字になっていない)


 有名なゲームなので詳細は省くが、とにかく夏に『ゲームの登場キャラが作中で同人誌を作る』と言うイベントがあった。私はそれに触発されて、自分でもやってみたい、と思ったのだ。


 さわやかな風の吹くハワイで、同人誌の制作に励む水着のジャンヌ ・ダルクはその夏いちばんのヒロインだった。未プレイの人には意味がわからないのでスルーしてください。


 その数ヶ月後、前回登場した創作畑の友人が同人イベントのために上京してくる予定があり、彼女に見せるために漫画を書く事にした。私が定期的に会っていて、現在進行形で創作をしている友人は彼女だけだった。自分をさらけだすなら、同じ感情を分かち合っている人の方がいい。


「自分の書いている小説」は全く読んで欲しくはないが、二次創作となると話は別である。元々同じキャラの知識を共有しているので、説明不要で、とっつきやすいからだ。


とにもかくにも、夏に浮かされた私は、コツコツ漫画を描いている友人に『あなたのその姿勢が私の心を動かした』と伝えなければならぬと、謎の使命感に包まれていた。きっかけはジャンヌ ・ダルク・オルタであるが、ゴールに導いたのは彼女である。


 16ページ。18だったかな。その時まで一枚も漫画を書いた事はなくて、クリップスタジオのトーンの貼り方もわからなかった。


 ネームを切って、コマ割りをして、ペン入れなんだか落書きなんだかわからないことをした。絵は最高に下手だった。中学生にしたって、下の中レベルだろう。


 あまりに下手で、何一つまともに描くことが出来なかった。でも、ここで諦めたら多分一生なにもできないだろうな、と思った。その友人には、「同人誌を渡す」事は当日まで隠していた。万が一、いやかなり高い可能性で諦めると思ったから、ガッカリはして欲しくなかったのだ。


 イベントの当日まで、そのコピー本は完成しなかった。全然進まなくて、コマを無料ダウンロードの素材で埋めた。セリフだけのコマを作ったり、すでに描いた部分をコピーして使いまわした。チョコラBBハイパーを二本飲んだら動悸が激しくなったので二度とやらない。


 夜中、私は後数コマを残して力尽きる寸前だった。でも謎の「ここまでやったんだから」と言う意地があって、ヘロヘロになりながら最後のコマを埋めた。描いたんじゃなくて埋めた。


 そのままセブンイレブンに行ってプリントをしようと思ったけれど、間の悪い事に深夜の踏切は工事中で、最寄の店に行くことができなかった。


 私はまだ諦めなかった。次に近いセブンに自転車で向かった。ネットプリントは出てくるのが遅い。

 自分の絵が刷り上がる様をじっと眺めるのは、何とも言えず居心地が悪かった。


 コンビニでコピー本を作成したことのない人は、『満員電車でスマホをいじっていたらうっかりエロ広告をクリックしてしまった』時の気持ちを思い浮かべて欲しい。あの時の『誰も見ていないよね……』と言う不安な気持ちがそれだ。


 出来立てホヤホヤの原稿を持って、私は家に戻った。ちなみに、表紙は時間がなくて真っ青な海の写真だし、タイトルは普通のゴシック体である。


 後はこれらを、事前に買っておいた中綴じホッチキスで止めれば完了。誰もがそう思うだろう。


 ガシャン。


 ……ダイソーの中綴じホッチキスは、使う前から壊れていた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] >『fg○』と言うゲームがある。(伏せ字になっていない) 吹きました。 笑が取れるのってデカイです。
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