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燃える桜2
「枯れてしまうって言われても」
私の右手はずっと燃え続けていた。感覚がマヒしているようだ。
桜の幹に、火が移っていく。あせった言葉が響く。
「頼むから、手を離してくれ」
「このままじゃ、私死んじゃうんでしょ」
「分かった。取引だ。といっても、呪いをかけるしか出来ない。
君が気に入るようにしよう」
公園のベンチに横たわり、そのまま眠っていたみたいだ。
小鳥のさえずりで目が覚め、犬の散歩をする人を眺める。
そう言えば、右手は…。おそるおそる顔を下に向けると、
腕はまったく無くなっていた。初めから無かったように
消えている。




