表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私の弟と、ユカイな仲間達

男子高生って、理解不能。これってウチの弟限定?

作者: こたろう

マジで理解出来ない。

4歳年下の弟とその友人。

去年、今年と同じクラスで、今、高校2年。


『机で寝てたら、いきなり手、舐められたッ!ありえへんって、キショイし』


そのセリフ、私が初めて聞いたの、去年の6月。

大雑把な母が笑い飛ばし、

『他の子も、手、舐められたん?』と面白そうに聞いていたのを覚えている。


その時、ちらりと弟のその友人が【アーッ!】な人かも、と疑問を抱いたけれど、弟の容姿を見直して興味は失せた。

ゴメン、平凡な容姿の男って判断して。


今年の6月。

高校の体育祭が近づき、また弟が叫んだ。


「ホンマ、キショイって。なんでオレの小指噛むねん!」

「前に言ってたのと同じ子?」

「そうやで。どう思う?オカン、姉ちゃん」

「あんた友達、面白いなぁ」


お母さん、それで流すんだ、スゴいよ。

それに弟よ、私に言われても。

私は友人に指を噛まれた経験はない。

ついでにこの先、噛むような友人が出来る可能性も少ないと思う。


私は取り合わずスルーしていたら、中学生の下の弟が兄に聞いていた。


「それってバスケ部の○○?いっつも一緒にゲームしてる?」

「そうやで」


仲、良いんだ。

手を舐められ、指を噛まれても、深夜にPS4を一緒にして、テレビ画面に話し掛けてる君。

その画面の先に居るのは○○君なんだ。



祇園祭、マジで最悪。

大学、休みたい。

もう、倒れろと言わんばかりの暑さ。

やっとの思いで帰宅し、リビングで涼んでいたら弟も帰ってきた。

白のカッターシャツにグレーのスラックス。

見目はそんなに暑苦しくないのに、何故か部屋の温度が一気に上がった気がして苛つく。


「オカン、夏の補講に塾、行くからお金ちょうだい」

「行かへんって、言うてたんちゃうの?」

「△△、あんた塾行くより、私がやれって言った問題集解いた方がいいんちゃう?

英語、あと10は偏差値上げらな関関同立、無理やで」

「判ってるって。やるし」

「じゃぁ、なんで塾に行くん?」

「姉ちゃんに関係ないんちゃうん?」

「いや、関係あるとかより、意味ないんちゃう?

夏休み入ったらすぐ、あんたの高校、勉強合宿やろ。実質3週間位の夏休みなんやから構文、文法、長文読解の基礎問題集でいっぱいやろ」


関係無いのに、思わず口を挟んだ。

弟が英語を苦手にしているのを判っていて、嫌味な言い方をした。

ゴメン、弟よ。

でも、なんか君の存在にイラッとするんだ、今日の私。


「あんたら、ケンカになるから止めとき。

△△、ホンマに塾、行くん?」

「友達に誘われたねん」


はい?

何言ってるんだ、弟よ。

友達と一緒に夏期講習って、アホだろ。


「友達?何であんたの友達が塾に誘うん?」


うん。

お母さん、私もそう思う。


「そいつバスケ部でポイントガードやってて、夏練キツいからサボれるし、英語悪いから丁度いいって。ほんで誘われた」

「お金は出すけど、手続きとかは自分でしいや」

「ありがとう、オカン」


君の言い分、私には理解出来ない。

バスケ部、君には一切関係無いよね、弟よ。

英語の成績が悪いのは君だけ?

それとも友人も?

弟よ。君の国語の平均偏差値72って疑うよ、本当。

それよりも、友人って過去に君が『キショイ』って叫んでた彼の事だろうか?

何だか私、君の友人が凄く気になる。




弟が今日、勉強合宿から帰ってきた。

一週間、ホテルで缶詰め。

ひたすら勉強。

鬱になった、って去年は愚痴ってたけれど。

今年はどんなクレームが飛び出すのか?


「お帰り~どうやった?

台風の雨、何ともなかった?」

「聞いてやオカン、最悪やったで。夜、寝られへんかったし」

「何で?」

「寝てたら指噛まれるし、ほっぺた舐められるしっ!」

「はぁ?」


私は口に含んだらアイスを吹き出しかけた。

スプーンを置き、母と弟の方を向く。


「あんた、何人部屋?去年は人数多かったよな」

「今年は6人部屋やってん」

「寝てて指、噛まれたんって部屋の子みんなも?」

「オレだけやで、どう思う?」

「他の子、寝てたん?」

「何か毎日、2時過ぎに【△△、起きてるか、生きてるか】って起こしてきて、ぼーってしてたら小指、噛んできたねん」

「他の子にはせえへんの?あんただけ、起こすん?」


お母さん、もしかして腐海の住人?

弟の友人を疑ってる?

笑いながら弟に根掘り葉掘り聞くのね、私も色んな意味で気になるから、口は挟まない。


「もう、最悪やで。毎日寝不足やし。

指、痛いし。親指も噛まれたし、ほっぺた舐められるし」

「前に指、噛んだ子?」

「うん」

「ホテルの部屋割、自由やった?」

「そうやけど」

「あんたの友達ってホンマに面白いな。指噛んで、手を舐めて、ほっぺた舐めて。修学旅行のホテル、楽しみやわ」

「修学旅行は一緒の部屋にならへんしっ!」


わお、バスケ部の彼だったんだ、やっぱり。

それでも、友人と言い、夏期講習も二人で通う予定に変更はなく。

今もPS4をしている。


弟よ、姉ちゃんには君の友人が【アーッ!】な人のように感じるんだ。

でも、何も言えない。

だって、私は標準的な男子高校生を知らないから。

女子高だったのが悔やまれるよ、ホント。

もし、秋の修学旅行で。

ほっぺたから別の場所に移動したら、ゴメン。

でも。

忠告一つしなかった、姉ちゃんを恨まないで。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こたろう 様 凄い話を、実話か否か抜きにして引き込まれました。 普通では無いと思います。ただ、【アー】なのかは判らない。 男を狙っているのか? 女性に何かするのはハードルが高いから、隙…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ