再びの酒場にて
「お姉さん、こいつらが手配の奴隷商で。
この子が、さらわれてた女の子です」
「ご苦労様でした♪
では、店の方で報告しておきます。
これで、クエスト成功になります♪」
これ、どう考えてもおかしいだろ!
クソガキが横取りしようとしたとは言え。
この美少女は俺のハーレム要員だぞ!
何で酒場の店員ごときが連れてくんだよ!
「お疲れ様~」
「おめでとうございます♪
では成功報酬は、1人500Gになります。
そして成功経験100点+モンスター経験値(ゴロツキ×1)3点で、1人103点ですね♪」
「ありがとうございます」
これも絶対おかしい!
ボスキャラを倒した俺と、何の役にも立って無えクソザコどもが同じ報酬なんだ!
こいつらの倍は貰っても良い筈だろ。
「最初の経験値、どうしますかね~?」
「前衛組は、キャラレベル上げてステ伸ばし。
後衛組は、クラスレベル上げて技能伸ばしでどうですか?」
「ま、そんなとこかな。
初期はモンスター経験値も低いから、実際どっちかしか出来ないしね」
経験値だってそうだ!
俺は、ボスにトドメさしたんだぞ!
ラストアタックボーナスはどうしたんだよ!
あのクソガキなんて、戦ってもいないんだぞ!
「買い物はどうする?」
「そっちはとりあえず、次のクエスト決めてからで良いでしょ」
「明日、明日!
今日はもう呑むぞ~!」
「あ、僕は未成年なんで」
はっ!
酒飲めもしねえザコが、デカい顔してんじゃねえクズが。
「ユウはマジメだな~。
オレらもう死んじまってんだから。
生きてる時の年齢、関係無いって」
「ま、ま、無理強いは無し無し!
気が向いたらで良いさね」
クソが!
他人の手柄を横取りする、寄生虫のゴミ虫野郎どもが!
こいつらのせいで、才能あふれる俺の様な天才が活躍出来ないんだ!
「しかしアレだね。
やっぱソーサラー欲しいよね」
「まあ、まだゲーム始まったばっかですし。
クエストごとに、パーティ渡り歩く人とかもいますから。
次のクエスト探しながら、ソーサラーも探してみれば良いんじゃないすかね」
「パーティ人数、最大8人だっけ?
3人でプレイしてる人なんか探してみる?」
ああ、そうか。
この連中から抜けられるんだな。
バカ騒ぎに付き合わされた後、こいつらと一緒に酒場の二階に泊まる事になった。
俺と同じ部屋にクソガキが、無能3人組は別の部屋だ。
こんな連中とは、さっさと手を切る事にケッテーした。
いつまでも付きまとわれちゃ、俺の無限の才能が食いつぶされちまう。
馬鹿どもが寝静まるのを待ち、サッと宿を抜け出す事にする。
おっとその前に、このクソガキの財布を持ってくか。
本当なら全部、俺の物になる筈の報酬なんだからな。