その白い部屋で
気が付くと、俺は白い部屋にいた。
真ん中のテーブルに、一人の爺さんが座っている。
「やあ、こんにちは」
なんだ、馴れ馴れしいぞコイツ。
「私の名前はオーディン。
君達にわかり易く言うと、北欧神話の神様と言うヤツだ」
その胡散臭い爺さんは、中二病みてーに眼帯までしている。
「信じられない話かもしれないが。君は死んでしまったのだ。
そこで、提案がある。
私には、ちょっとした趣味がある。
戦士の魂を集めて、その戦いを鑑賞するのだが。
最近の『戦士』は、銃だの戦車だの戦艦だのと、私の趣味とはイマイチ合わない。
古臭いと言われるかもしれないが、剣や槍での血沸き肉躍る戦いが好きなのだ。
そこで考えた。
いっその事『戦士の魂』という括りを外し、ファンタジー的な知識を持った者の魂を集め。
魔法で顕現させたTRPGの世界で競わせてはどうかと。
その世界を、実際に体現させて戦わせようという物だ。
そして、そのプレイヤー候補として君の魂が選ばれ、私の前にいるのだ」
グダグダと訳の分からない話を述べてるが。
つまりアレだろ?
この爺さんのせいで俺が死んじまったから、RPGの世界に転生させてチート無双させてくれるって話だろ。
小説でよくあるヤツだ。
「いいぜ、その世界に転生してやるよ!」
今までは、俺の才能を認めない無能なザコどものせいで無駄な時間を過ごしてきたが。
ようやく俺の才能に見合った活躍の場が与えられたって事さ。
「転生…?
ふむ、日本人は面白い表現を使う。
まあ、ある意味、転生するような物かもしれんな」
そして、一冊の古臭そうな本を渡してきた。
「ではこれが、そのゲームのルールブックだ。
外観は本の形をしとるが、お前さんの使いやすい形状に変化する。
そこの扉を出ると、この世界でのお前さんに与える部屋に行ける。
キャラクター・メイキングの期限は三日間。
部屋からは、他のプレイヤーとも交流できる『街』にも行けるから。
気に入ったメンバーを集めてパーティを組んでも良い。
リビルドは出来んから、ルールをしっかり確認してキャラを作ってくれ」
扉を開けると、ベッドと机だけと言うこれまた殺風景な部屋に出た。
ルールブック?
どうせチート能力があるんだ、こんな分厚い本を読む気にもならないね。
テキトーにそこら辺に投げ出すと、本から一枚のシートが出てきた。
キャラクター・シート
名前
職業
ああ、名前と職業は決めないといけないんだ。
無双して超有名になるんだ、超カッケェ名前にしないとな。
ダークとかデスなんて中二臭いのはダセェし、無敵とか最強って名前にするのもなんだしな…
そうだ、リョウガ・無限才とかカッケェだろ!
ザコどもを凌駕する無限の才能をもつ俺に相応しい。
えっと、入力はどうすんだ?
スマホのタッチパネルのようにシートの『名前』の所を触ると、スマホみたいに文字入力のパネルが出てきた。
えっと、後は『職業』は?
《次の四つの職業から一つ選んで下さい
1.ファイター 詳細→
2.ソーサラー 詳細→
3.レン…
そんなの、ファイターに決まってるじゃん!
職業の次は装備だ!
《初期資金は2000Gです
装備、アイテムの購入を行なって下さい
戦士ならやっぱ、超カッケェ二刀流だよな!
《武器カテゴリ
短剣 刺突剣 長剣 大剣 槍…
えーと、この1000Gのシルバーソードっての2本か?
あ、鎧とかも買わないとダメだな。
《防具カテゴリ
胴鎧 全身鎧 外套 頭部 腕…
外套ってなんだ?
コートやマントか、へぇ…
《ブラック・サーコート 1000G
漆黒に染め抜かれた、高位の騎士がまとうコート
詳細データ→
これ、超カッケくね!
高位の騎士とか、絶対強いし!
《よろしいですか?(売却はできません
フワリと黒いコートが現れる。
袖無しの肩に羽飾りがついて、前が大きく開いてて細い銀のチェーンでつないである。
想像とはちょっと違うが、でも超カッケェ!
じゃあ武器は、500Gのアイアンソード2本で!
《よろしいですか?(売却はできません
全ての準備を終え。
この世界に、俺と言う最強剣士が誕生した。
闇夜の如き、漆黒のコートをまとい。
両手には、鉄の剣の重みを感じる…
ふっ…
明日からこの俺の本気で、最強の伝説を生み出してやるぜ!
キャラクター・シート
名前 リョウガ・無限才 Lv.1
職業 ファイター Lv.1
習得スキル 所持スキルP 3
武器
右 アイアンソード(-
左 アイアンソード(-
防具
1 ブラック・サーコート
2
3
雑貨
作者注
初期職業は、以下の通りです。
1、ファイター
言わずと知れた戦闘職。
重装備が可能で、戦闘特化な技能を覚える。
しかし、戦闘以外の技能は習得できないので。
1人で冒険に行くと、ヒドイ目にあう。
2、ソーサラー
魔法の専門家。
ただし、装備制限が課される。
技能もほぼ覚えない。
3、レンジャー
冒険技能職。
いくつかの戦闘技能を覚えるが。
本業は、探索、解除、隠密といった技術職。
パーティに最低一人は欲しい。
4、バード
知識職。
呪歌を覚える。
モンスター判定やアイテム鑑定。
言語が違う異種族との会話が可能。
やはり、最低でも一人は欲しい。