始まり2/2
まあまあ、落ち着け俺。
「悪かっな」ぐらい英語でもわかるだろ。
でも、「何しやがる!」って英語で何て言うんだ?もしかして、過度なストレスにより脳が覚醒したとか。
とか考えていると、「どうした呆けた面しやがって。」
「何故、どうして、英語が理解出来る。」
「あぁ、混乱するよなぁ、そうだよなぁ。それはそうとして、二発も当て悪かったな。まぁ、二発目は直接当てた訳じゃないからいいか。」
「そうだ!俺はお前に撃たれたんだ。」
「そう騒ぐな。本物じゃぁないんだから。
血も出てないだろ。腫れ、、いや骨のひび程度で喚くな。」
「喚くよ!一体どうなってる。」
「おっとお前が騒ぐからだぞ、アイツが起きた」
振り返ると、コートが起き上がろうとしていた。
「おい、ついてこい!」そう言って走り出す。
また同じことの繰り返し右に行き左に行き、
少しだけ付いて来たけど、本当にマントを信用して良いものなのか?コイツは俺を撃っているんだぞ。
「次は右だ」
俺は左へこう、これでマントを撒けるだろう。そして、コートも撒いて警察の所へ。
マントが右へ行き、俺は左へ行く。
やった!町明かりだ少し遠いが何とかなる。
この薄暗い路地ともおさらばだ。
いや、いや、どうしたらそんなことが出来る。どうやらコートは、素晴らしい脚力の持ち主らしい。
ひとっ飛びで、俺の頭上を通過し、10メートルぐらい先に着地し、喋り出す。
「全く、小賢しい奴だ。もう逃げられないぞ。」
そして、青白く光る右手を前に出す。
おい、何で青白く光ってんだ。
次の瞬間、その手から閃光が放たれ俺の足(右膝)に当たると、凄まじい痛みでその場に倒れ、叫ぶ。
「グッ、いてぇぇぇぇぇ!(以下略)」
コートが何か言っているが聞こえない、だって叫ぶので忙しいから。
どうやら近ずいて来ているようだがそんなことより、痛過ぎる。しかも血まで出てる!
そんな中、物凄い風に感じたと思えば、俺の体はまるで、風に飛ばされる紙のように飛ばされ一瞬で真上に飛ばされた。
距離にするとだいたい15メートルぐらい。
本日二度目の空中浮遊。
そして、こう思う
「あ、死んだ」
今度こそ死んだな。
諦めかけた(諦めた)その瞬間、横から衝撃を感じる。
どうやらマントがどうやってかは知らないが、上空15メートルぐらいの高さまで飛び、横からお姫様抱っこのような感じで俺を抱えているようだ。そして横からの勢いで少し離れた路地に着地する。
意味がわからず、ぼーっとしていると、
地面に降ろされ、立とうとするが、足が痛くて立てずに倒れてしまう。
最悪だ。本当に最悪だ。
肩を撃たれ、足を撃たれ、本当にどうしてこうなった。
「足を怪我してるのか?治してやろう。
これに懲りたら、もう逃げるなよ。」
そう言ってマントが傷に手をかざし、
何かを呟くと、かざした手が光り出す。
(もういやだ。光る手は二度と見たくない。)
すると、痛みがどんどん引いていき、
しばらくすると、マントが「これでいいだろう。」
「一体どうなってる!」
「教えてやるから立て。」
マントの手を借り立ち上がる。
「い、一体どうなってる!撃たれたと思えば空を飛ぶし。何もかもめちゃくちゃだ!どういうことなんだ教えてくれ。」
「そうだなぁ。簡単に言うと、魔法の力だな。」
どうやら"今まで出会った中のヤバいヤツランキング2位"のコイツは一位の座が欲しいらしい。
「魔法?!」
「そうだ。魔法だよ。で、俺とあの追ってきた奴は魔法使いだよ。ついでにお前もな。」
ヤバい、コイツ相当ヤバい。自分は魔法使いだとか言ってる。一位の座はコイツに譲ろう。いや、待て。確かに魔法じゃないと説明出来ないことだらけだ。
しかし、一番気になることは他にある。
「今、俺もって言った?」
「ああ、そうだ。」
マジか。そうか、もしかしたら、なんてことは考えたことがあるけど、本当にそうだとは。いや、もしも、もしも魔法があるならの話だから、本当に信じた訳じゃないから。
「それより、腕を出せ。」
魔法使いだと言われ、気が緩んでいたのか、素直に腕の出す。すると、ポケットから何か取り出し、俺の腕にはめる。
「腕輪?」
それは、何故か俺の腕にぴったりの赤い宝石が付いた銀の腕輪だった。
「それで魔力をコントロール出来る。つまり、これで魔法が使えるということだ」
ここで一つ疑問
「これ、値段はどれぐらいなんだ?」
「無料だよ。ただ、まだお前の物じゃない。その石にお前の血を吸わせろ。」
『なにそれ、怖い。』と言おうとしたその時、少し離れた曲がり角からコート登場
「調査員の分際でこの俺様の邪魔するんじゃねぇ。それは俺の獲物だ」
そんなテンプレ感満載なセリフを吐き捨て、例の閃光を放つ。
でも今回は俺(達)に当たる前に弾けて消える。
「何してる!時間を稼ぐから早く石に血を!」
どうやらコートは本気を出してきて見たいで、弾けるというか、爆破する閃光を連続で放ってきている。これはもう魔法を認めるしかない。
もう治ってはいるが、膝の傷から出た血を指につけ、宝石に触れる。
「もう終わったか?」
「ああ、多分。ちょっとだけ光ってる。」
「よし。じゃあ代われ。」
「どうやって。」
「アレを防げる壁をイメージしろ。出来たら手を前に出して、壁を作れ。」
イメージして手を前に出す。待て。
「壁を作れって具体的にはどうする。」
「魔力を手に集中させるのをイメージしろ。そろそろ限界だ。」
魔力を集中させるイメージ、こんな感じか?
すると目の前にイメージどうりの青い半透明の壁が出来る。
マジか!す、凄い魔法を使ってる!
「よし。それを維持させるのに集中してろ。俺はアイツに反撃する。」
するとマントの中から銃を取り出し
トリガーに指をかける。
おい、何で魔法で戦ってたのに近代兵器使うんだよ。倒せるなら別にいいけど。
そう思った瞬間。せいぜい9mmぐらいの銃口から人の上半身が入るぐらいの閃光がコート目掛けて飛んでいく。
それは俺が作った壁を吹き飛ばし、そのままコートも10メートルぐらい吹き飛ばし消えた。
「おいおい、殺したんじゃないか?」
「たぶん大丈夫だ。当たる前にアイツも壁か何か出しただろう。たぶん。」
たぶんが多くて怖いな。だがしかし、
そんな事よりもまずは、
「助けて頂き、誠に有難うございました。この事は誰に言いません。腕輪もお返しいつたします。だから、もう家にかえります。」
「家に帰る?何言ってんだテメェ、血の誓い、忘れたとは言わせねぇぞ。」
血の誓い?何言っているんだ。
「ち、血の誓いなんて聞いてないのですが。」
「あれ、そうだっけ。そう言えば話して無かったな。簡単に言うと、血の誓いは、腕輪の石に血を吸わせる事だよ。そうすると、魔力が制御しやすくなる代わりにイギリスから許可無く出ると、所有者の血を腕輪が全部吸い取るんだよ。」
「え!?」
俺はその場で凍りつく。
「は、外してくれ!」
「無理だ。俺には出来ない。」
「じゃあ誰なら。」
「上層部、正確に言うなら、調査員取り締まり役会の奴。」
「誰だよ!聞いたこともない!」
「その名のとうり、俺達調査員の取り締まり役だ。」
「その俺達には、俺も入るのか?」
「もちろん。」
「どうやったら外して貰える?」
「そうだなぁ、まず前金50万用意しろ。」
「ご、50万円!?」
「円じゃないポンドだ。」
「一ポンド150円だから、、750万か。
終わったな。もう家に帰れない。」
「その後に、、」
マントが何か言っていたがその先は聞こえ無かった。
最悪だ。本当に最悪だ。
魔法使いになれたけど家に帰りたい。
次回に続くかも?