始まり1/2
「そう、そう、これが見たかったんだよ。」
目の前にはライトアップされたビックベンがある。
高校の入学祝いで、二泊三日のイギリス旅行(1人)の一日目の夜、俺はライトアップされたビックベンの前にいた。
(そうだなぁ、このまま下流の方に行ってみるか。)
気がつくと、夜の十二時になっていた。
そろそろ帰らないと、夜に1人は危ない。しかも、あたりは街灯が少ないため薄暗く、人もいない。少し早足で帰るか。全く、どうしてこんな所まで来たんだ。
少し遠いが結構明るい所があるな、もう少しだ。
ん?
何か気配がして右を向く、路地の奥で何かが光る、次の瞬間右肩に激痛が走りそして、吹き飛んだ。
どんな感じだったかというと、30センチぐらい浮き、路地の方を向きながら、後ろに飛ばされ、腰の高さの柵に膝裏が当たり川に落ちていく、(全く、もっと柵が高ければ。)
落ちる前、柵に膝裏が当たった後から世界がゆっくり動いている様に見えた、その時、わかった事は路地の方には人が2人いて、手前が茶色っぽい色をしたコートを着ていて、奥の方が、黒いフード付きのマントを着ていた事と、確実に川に落ちると言う事。
で、落ちるところから、不幸中の幸と言うべきか、川に落ちる事はわかっていたので、水面までに息を吸い込む事が出来た。さらに言うと、水面が高く、水面に叩きつけられた時の衝撃は、少なかった。
でも、そんなことで喜んでいる場合ではない、恐らく銃で撃たれたせいで、水面から顔を出そうとしても右肩が痛く水を掻いて浮上するのが難しい。そして水を吸った服が重い。
その時何かが川に飛び込んできた。何となく察しがつく。あの2人のどっちかだ。暗く、そして、そもそも水中なので、どっちかはわからない。しかしそんなことより重要なのは、こちらは泳げないのに対し恐らく相手は泳げる事だ。(いや、飛び込んだのだから、泳げるのだろう。落ちただけかもしれないけど。)
やっぱり、泳げてる。どんどん近ずき、そして手を掴まれる。もう息が続かない。と、言う所で、どうやら飛び込んだ奴が助けてくれた見たいで、気ずけば、水面から顔がでていた。良かった、助かった。どうやら助けてくれたのは、コートの方だった。で、そいつが、「¥&@//、¥&¥@/-(不気味な笑い)」別に意味不明な奇声を発した訳ではない。単に英語がわからないだけだが、最後の(不気味な笑い)だけでわかった事はこいつがヤバい奴っぽいって事。
ん?おい、マジか、やばそうな奴の後ろに何か見えたと思えば黒いマントの方が道ではなく何故か柵の上を走っている。俺の視線の気ずいた、やばそうな奴もそれを見て、「Fu※k」と呟く。(「Fu※k」は聞き取れた。)
その後やばそうな奴はまた何かを呟くと、 何やら下の方から圧力がかかる。例えると、間歇泉の真上に座り、水圧で吹き飛ぶ様な感じ。そして、今まさに水圧により吹き飛び、水面から十メートルほどの所で放物線の頂点に達した。
もう何が何だかわからない。だって、撃たれて、川に落ちて、やばそうな奴に助けられて、気ずけば十メートル上空に打ち上げられたんだから。しかも、打ち上げられたのは、俺だけじゃなくやばそう(ryも一緒。さらに言うと打ち上げられたのは真上じゃなく、少し斜め向き、つまりこのままだと、川沿いの道に叩きつけられる。いい所は、黒いマントがいない方の道と言う所だけ。
じゃあ、続きから。
「ヤバい、ヤバい、止まれ、止まれ!!」回転し、落下しながらそう叫ぶ。地面直前で目を閉じる。しかし、地面には着かなかった、目を開けると
地面から数センチの所で止まっていた。何かで支えられている訳でもない。そう、中に浮いているのだ。
浮いていた時間は0.5秒ぐらいだったが、それでも落下速度が0になったので地面に落ちた時は数センチ分のダメージしかなかった。(これで、顔から落ちなければもっと良かったのに。)
俺の少し離れた所にやばそうな奴が、スタッと、着地する。
ヤバい。本能がそう言っている。一刻も早く逃げないと。
うつ伏せの状態から、体を起こすため右手をつき、起き上がろうとするが、肩に激痛が走り断念、すかさず左手で状態を起こし、やばそうな奴のいない方へ走り出す。それはもう、無様な走り方で。
腕を振り回し、デタラメに、死に物狂いに足を前に出す。何度も転びそうになりながらも、今までにない速さで、走る。
これが、火事場の馬鹿力と言うやつか。なんて思える心の余裕が出て来たのは、周りが街灯で明るく照らされて、いるところまで来てからだった、フォームを整え、辺りを見回す。
明るくはなったけど人はいないか、クソ。
なんでこんな目に。
そう思い、振り返る。
はぁ、そうだよ、こんな時にはこう言えばいいんだ。
「Fu※k!」
全っ持って撒けていないじゃないか。
しかも、黒いマントまで追って来てる。
前を向いて、考える。
このままだと追いつかれる。
そうだ!簡単な事だ。道を曲がればいい、まっすぐ走るのがいけないんだ。
目の前の路地を右に次は左に、こんな事を続け、少し経った、次は左だ。
左に曲がり少しして気ずいた。
フェンスが有る。
暗くてよく見えなかった。しかも、ご丁寧に、上の方には、有刺鉄線付き。
よし、引き返そう。
振り返りながらこう思う。
(こうゆう時って振り返ったらそこに居たりするよな)
良かった、いない。
次の瞬間角からやばそうな奴登場。
全く撒けてないじゃないか。どうする、どうする俺。
軽くステップを踏みながらゆっくり近ずくやばそうな奴。(これからはコートと呼ぶ)
「¥&@//、¥&¥@/-/%^*;€*^@¥」
全く何を言っているのかわからない。
そもそも聞いていない。この現状の打開策を探すので頭が一杯だ。道が狭くて通り抜けれそうにない。殴るか、殴って逃げるか?
軽くステップを踏みながらゆっくり近ずくコート、さっきから何か言っているが何を言っているのか。クソ、殴るしかないか。焦ってそれしか思いつかない。
コートがステップを踏みながらその場で一回転しようとする。
これしかない。
コートの視界から外れた瞬間走り出す。
コートも、それに気ずきこちらに向こうとするが、少しバランスを崩す。
何とかこっちを向いたがもう遅いあともう少しで(左手の)拳が届く。
あぁ、なんて事だ。気ずかなかった。
コートの右手には、ナイフの様な物が握られているじゃぁないか。このままだと殴れるが、ナイフが体の何処かに刺さった後だ。
だがもう止まれない。
クソ!
覚悟を決めたその時、コートの後ろで何かが光る。
俺の肩を撃ったヤツだと直感でわかった。
次の瞬間、コートが前のめりに、こっちに向かって吹き飛ばされる。それに巻き込まれ俺も後ろに少し飛ばされ、仰向けに倒れ、
コートは俺の上にうつ伏せで倒れる。
全く、気持ち悪いし、重い。
コートを俺の上からどかし、立ち上がる。
で、第二関門。
目の前の黒いマントをどうするか。
どうやら、コートをどかしている間に結構近ずいて来ていて、1メートル先にいる。
近くで見てわかったことは、
身長180以上、恐らくそれ相応の体格(マントでよくわからないが、肩幅はそれぐらい)
フードで顔はあまり見えないが、ヒゲを生やしている。
銃の様なものは持っていないがどうせこいつが撃ったのだろう。
三秒ぐらいの間が空き、マントが俺の頭に手を置く。
次の瞬間、声も出ない程の物凄い頭痛に襲われ倒れ込む。
少しして、頭痛は治ったが、一体どう言うことだ。
立ち上がりながら、「何しやがる!」と言ったが言い終えて思い出す。ここはイギリスだと言うことを。しかし、何だか違和感。
「悪かったな」と、マントが少し渋い声で言い返す。そして、驚く俺決して声が渋いことに驚いた訳でも日本語を喋ったからでもない。
そもそも相手は日本語を喋った訳ではない。
英語で話している。俺が英語を理解したのだ。
一旦終了です。次回に続くかも。