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思わぬ再開

昼休み、弁当を早く済ませ、昨日買ったラノベを読んでいるとき、声がかけられた。あの種田さんだった。


「春日くん、2年生の人が呼んでるよ。」


がっくし

種田さんから声かけられたと思ったら、違った。(違ってはないんだけど)

でも入学してまだ2日目、俺を知っている人なんて居ないはずなのに…


この学校は、学年ごとにネクタイ、リボンの色が違っており、今年の1年生は青、2年生は赤、3年生は水色と青のチェック柄と別れている。だから種田さんも2年生だと、わかったんだろう。


教室の扉を見てみた。そこには、赤いリボンを付けている言葉にできないぐらい綺麗な人がいた。

黒髪の長い髪に、スラッと伸びた脚、引き締まったウエスト、モデルの人にだって十分に勝っているぐらい綺麗な人物だった。てか、クラスの男子全員扉をガン見していた。


でもなんでこんな人が俺に会いに来ているんだろう。 そういうフラグ建てた覚えもないし。あんな人が俺に一目惚れっていうのも99%ありえないだろ。まぁ1%は、あるんじゃないかと淡い期待もしているが…


俺は周囲から視線を感じながら、廊下に行った。


「ター君久しぶり!この4年間とっても心配したんだから。小学校卒業してから中学校に入学して、2年生になってター君が入学してくると思っていたら、転校したとか、全然聞いてないんだけど!私に何か言うことあったでしょ!さぁ今すぐいろいろとはいてもらうよ!!」

「・・・・・すいません、どちら様ですか?」


先ほども言ったが、俺にこんな綺麗な知り合いはいない・・・はず?


「まさか私のこと忘れたの!?ちょっとこっちに来なさい!」


手首を掴まれ、されるがままに連れて行かれる。

てか、手首痛い。あと、みんなの視線も痛い。こんなに視線を浴びたのは、中学3年の文化祭以来だ。嫌な思い出がよみがえってきた。思い出したくもなかったのに…


連れて行かれたさきは、屋上だった。この学校は、生徒が屋上に出入りするのが許可されているらしい。


遂に、手首を離してもらった。


「本当に私のこと覚えてないの?」

「・・・・・はい」


その女子は、深いため息をつきながら、

「私の名前は、川島 時雨 これで思い出したでしょ」

「えっ、まさか しーちゃん!!!」

「ター君、やっと思い出してくれたね!本当に久しぶり」

「うん。久しぶり!」


やっと思い出せた。しーちゃんは、昔、家が近所だったことから小学校の登下校を一緒にしていた。所謂、幼馴染。確かに小学生の頃から可愛かったけど、こんなに綺麗になっているなんて、驚きを隠せない!


そんな俺の様子を見て、


「私 、そんなに変わったかな〜。身長は結構高くなったけど、それ以外ほとんど変わっていないと思うんだけど?」

「いや、すごい変わってるよ!髪型だって短かったのに、今は長いし。なんか雰囲気も大人っぽくなってるし。あっ、僕のことはいつわかったの?」

「ああ〜、それは、体育館の上段から1年生を見ていて、そのときに気がついたんだよ。」

「へぇー、でも何でそんなところにいたの?一般の生徒は、僕らの後ろの方に座っていたはずなのに」


俺の記憶が正しければ、赤色のリボンを付けていた2年生の生徒は、1年生の後方にいたはず。


「私、生徒会副会長してるから、ステージの裏からこっそり見ていたんだよ」


「えぇぇっっっ〜〜!しーちゃん副会長なんてしてるの!」

「うん、立候補する気はなかったんだけど、先生達に会長に立候補してみないかって言われたんだけど、会長は立候補した人がいてその人に悪いと思って、空いてた副会長になったんだよ。」


まじか...しいちゃんってそんなに先生から信頼されているんだ。俺なんかとは大違いだな。


「そういえば、ター君って自分のこと【僕】っていうの変わらないよね。」

「普通に話すときは【俺】なんだけど、しーちゃんと話していると【僕】になるんだ」


あと、口調も変わってしまう。


しーちゃんは「うーー〜ん」と考えるような仕草をした。そして、衝撃の一言!


「ター君!」

「えっ、あ、はい」

「先輩命令で、高校の3年間、一人称を【僕】にしなさい!」

「………っ、えええー〜!?」


なんでこんな考えが出てくるんだろう?明らかに頭のパーツが他の人と変わっている!


「なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ!!何の意味もなくない!!」

「さっきも言ったとおり、最近の男子に自分のこと【僕】っていう子いないんだよ。だからお願い!」


上目遣いで言ってきた。やばい、こんな形でお願いされたら、ちょっときつい…


「私、僕っ子好きなんだよ。アニメとかラノベ、漫画には僕っ子っているけど、現実には居ないから、ター君に僕っ子やってもらいたいんだよ。」

「なら、僕でなくても良くない!?」

「他の人には頼めないから。お願い!」

「でも…」


そう答えると、しゅんとした様子になったが、次には、ガバッと顔をあげ


「なら、ター君の秘密を暴露するよ!」


…いや騙されるな。小学生で暴露されて困るようなことをした覚えはない。


「覚えていないなら思い出してあげるよ。ター君が小学校5年生のときに、道路に落ちてた成人向けの本を拾って私に見せたことを!」

「っっっ!あのときはそういうもの全然わからなくて

しーちゃんならいろいろなことを知っていたからこれがどんなものかわかると思って…」


確かにそんなことがあった。学校の下校途中に、2人で帰っていると道の真ん中に、本が落ちていて興味本意で拾ってみたけど、よく分からなくて、しーちゃんに「これって、どういう種類の本なの?」と聞いた。


「私は、副会長だからやろうと思えば全校生徒にこのことをばらすことだって出来るよ。」


そんなことをされてしまえば、高校生の一時がすべてダメになる。変態のレッテルを貼られるだろう。


「そのことだけは、勘弁してください!わかった、わかったから高校の3年間、【僕】にするから‼︎」


すると、大変嬉しそうな笑顔なり、


「じゃあ、3年間それでお願いね。ああ、あと文芸部にも入部してもらうからね」


まさかの追加要求。


「なっ、なんで文芸部に入らなきゃいけないの!?今の話と全く関係なくない!」

「人数が足りないから入って欲しいんだよ。新しく作った部だから、人数が私を入れて今、2人しかいなくて、部活は最低3人いないと設立できないから、お願いね」

「他の人探せばいいよね!僕である必要なくない!」

「確保できるときに確保しておこうと思ってね」


俺じゃなくて僕はもう諦めた。


「改めてこれからよろしくね!」


予期もしない高校生活が始めってしまった…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とぼとぼと、昼休みギリギリに帰ってくると、元晴とまさかの種田さんから質問責めにあった。


「大智!お前なんであんな美人な人と知り合いなんだよ!」

「そうだよ。私、びっくりしちゃった。春日君があんな綺麗な人と知り合いだなんて」


俺は今とてもしょんぼりしているのに


「それは…」


そこで、授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。


「この授業が終わったら、色々と聞かせてもらうからな」


そう言って、元晴は自分の席に戻った。


「私にも、聞かせてくれるかな?」


なんで可愛い女子の上目遣いは、拒否し難いんだろう。


次の休み時間は、大変になりそうだ。僕は、その授業の内容が全くといってもいいほど入って来なかった。



次に投稿するのは2月11日6時になります。


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