時の魔法part2
※今回も冬希視点です。
あやすのが得意な流星が居なくなった今、玲奈の相手をすることができるのは僕と咲良だけだ。咲良はさっき見たらあやすのが苦手みたいだし、僕も苦手だ。というか、あやす、というのをしたことがない。
「さて、僕らだけでどうする?玲奈は今、寝てるけど、起きたら面倒だよ。」
「まあ、とにかく今は様子見よ!あ、おもちゃとかいるかな。」
「だけど、ここにはおもちゃなんて…」
「あ、何か、箱とかある?」
「箱!?えっと…あ、これなら。」
そこにおいてあった、小さい、手のひらサイズの箱だ。
「ぴったりだよ〜。見ててね。
咲良が命じる。音の精霊さん、その力私に恵んで。」
箱に光が集まる。暖かい光だ。光がおさまった。変化は何もない。
「…失敗した?」
「違う違う。こうやって蓋を開けると…」 …...♪~♪~♪*゜
どこからか音楽が聞こえる。優しい音だ。
「なるほど、オルゴールか。」
「そう!玲奈ちゃんが気に入ってくれるかわからないけど、私の好きな曲を入れてみました。」
その時、玲奈が起きた。立ち上がってこっちに歩いて来てるけど、足取りが危うい。
「玲奈ちゃーん。おーいで!」
咲良が手を広げる。飲み物でも探すか…
どんっ
なんの音だ?音の方を見る。あー…おっちょこちょいのところは昔からなんだ。玲奈がこけてる。あらら。額から血だしちゃって。
「うっ…うっ…ううぅ。うわぁぁぁん」
「どうしよう!玲奈ちゃん、おでこから血が出てる!冬希くん…私、血…苦手…頼んだ…」
なんだか、いつもの咲良じゃない…?よっぽど苦手なのか。泣いてる玲奈を渡されたわけだが、治療するか。玲奈を床において、僕もしゃがむ。
「な、何しようとしてるの?」
「僕もやったことないんだけどね。1回本で読んだことがあって…
癒しの精霊よ、僕に力を貸してください…!」
初めてやるからどう想像すればいいのかわからない。ただ、玲奈の血が止まることだけを願った。
結果的に言うと、なんとか成功した。何もなかったみたい。玲奈が泣いてたのは当たり前と言えば当たり前だが痛かったらしく、治ったら泣きやんだ。オルゴールを気に入ったらしく、咲良と遊んでいる。仲がいいものだ。本能的に咲良とは仲がいいと思えたのかな。まあ、とりあえず安心か。あと10分もしたら流星を呼ばないとか。小さい玲奈も見納めだな。
何もないまま10分は過ぎた。流星も呼んできた。問題は魔法が成功することだ。
「ふぅ…
流星が命じる。時の精霊よ、俺に力を恵め。玲奈を元に戻せっ…!」
さっき失敗したから流星は気合が入ってる。なんだかんだ言って、玲奈のこと好きなんろうな。本人も気づいてないだろうけど…
次は成功した。玲奈は寝てた時に魔法をかけられたから、その後も寝てた。ということて、皆で起こす。咲良の起こし方は優しいけど、流星の起こし方は荒い。流星は咲良に怒られながら、なんとか玲奈は起きた。
「おはよ…なんで私、ここで寝てるの?」
「覚えてないのか。お前、小さくなりたいとか言ったから小さくなってたんだよ。」
「あ、そうだそうだ。あれ…でも、小さくなったっけ?」
「玲奈ちゃん、小さくなったときのこと覚えてないの?このオルゴールは?」
「なにそれ。ただの箱じゃないの?」
だめだこれは。全然覚えてない。
「じゃあ、流星の小さいのも覚えてない?」
「うーん…あ、それはなんでか覚えてるよ。ずっとふてくされてたね。そんなに小さくなったのが嫌だった?」
「当たり前だろ。女の子に間違えられてたんだぞ。というか、なんでそこだけ覚えてるんだ…」
「流星、どんまい。」
ま、玲奈が戻ってよかった。
流星は、どうして、自分の力を抑えられてなかったんだろう。もしかして、自分の力の大きさを認識してないのかもしれない。これから、見守っていこう。