訪れた知らない人~8~(side美香)
城から帰ってきて一週間ほどたったころ。
「美香!ただいま!あのね、冬希がね、人間界に帰れる方法見つけたって!」
「ほんと!?でも、皆と離れるのは寂しいなぁ…」
「そうだね…あと、少しだけど楽しも!」
「あ、でも、あのことを終わらせるまで帰れない…」
「あのこと?」
「うん。ちょっと、流星君の家に行ってくるね」
「りゅーせーくん!」
「玲奈から聞いた?」
「もちろん。だから、明日するよ」
「あ、明日!?無理だよ。」
「やってもらわないと、帰らない。」
「はいはい…」
「順序は昨日決めた通りに。明日は学校まで迎えに行くから、その時にこれ渡すね。学校で誰かに取られても困るでしょ。」
「そうっ、だな。」
「頑張ろうね。」
「おうよ。」
次の日。
そろそろ学校が終わる頃だ。私はあるものを持って学校へ向かった。
あの四人は仲良い。いつも途中までみんなで帰っているって言ってたから正門から出てくるのも一緒のはずだ。
しばらく待つと案の定、四人が出てきた。作戦実行は咲良ちゃんと冬希君とバイバイした後。それまでは普通にしとこう。
「あれ。美香ちゃん。どうしてここに?」
「今日で最後だから。少しでも皆といたくて。」
「そっかぁ。明日帰っちゃうもんね。さみしい。」
「じゃあ、今日、遊ぼうよ!それじゃ、荷物置いたらここに集合にしよ。あとでね!美香、流星、早く帰ろ!」
少し歩いてから…
「流星君。これ。今がチャンスだよ。」
私が流星君に渡したのは四葉のクローバーのしおり。
「う、うん…やべぇ。ドキドキしてきた。」
「そーゆーもんだよ。頑張って」
「れ、玲奈!」
「どしたの?早く帰ろーよ。」
「あのさ、言いたいことがあってさ。」
「何?早くしてよ」
「俺さ…玲奈の事、好「玲奈ちゃーん!これ返すの忘れてた!」
走ってきたのは咲良ちゃん…ちょっとは空気読んでください…
「あ、ありがとうー後ででも良かったんじゃ…」
「あ、そうだね。でも、なんか、嫌ーな予感がして…玲奈ちゃんは私のものだからね!」
さ、咲良ちゃん…もしかして、止めようとしてますか…私は苦笑いしかできない。というか、なんでわかったんだろう。怖いな。
「もちろんだよ〜。じゃ、後でね。
で、流星、さっき言いかけたこと何?」
「えっ、あ、もういいんだ。悪い。」
「流星くん!」
「いや、これは無理だろ」
まあ、この状況じゃ、ちょっと辛いか。
「なんか変だね。まあいいや。早く帰るよ。」
流星君…ドンマイすぎる。これは、恋が実るのも大変そうだな…今日中には無理か。