訪れた知らない人~6~(side美香)
あれ、ここ、どこ…ていうか、なんで私、檻に入れられてるの。まるで鳥かごみたい。でも、少し狭い。ある程度は動けるんだけど…
「あれ、お目覚めかな。」
「颯治さん!?助けてください!」
「これが人間かぁ。魔力がないところ以外はほとんど一緒だな。」
「だ、誰?つ、角が生えてるの?」
「俺は悪魔のアルだ。」
「あ、あ…あく、悪魔ぁぁぁぁぁ!?」
悪魔に会うとは思ってなかった…
「うるせぇな。さてと、本題に行こう。悪いことはしない。その水晶を渡してくれ」
「い、嫌です!たとえ、颯治さんでもこのネックレスだけは渡せない!」
「囚われの身の割には随分と生意気なことで」
「こ、この水晶で何をするんですか」
「それはね、この世を僕のものにするんだ。僕はもう一人ぼっちなんて嫌なんだ。だから、皆、僕のために働かせる!」
「たくさんあなたの周りには人がいます。考え直してください!」
「何を言う!俺の周りに人なんていない。全ての始まりは冬希が生まれてからだった。その日から冬希は親のお気に入りになって、学校でも、俺は見放された。全てあいつのせいで、俺はさみしい人生を送ってきたんだ。」
「そんなことないです!冬希君は颯治さんのことが好きだと言ってました。信じてください!」
「うるさい!黙れ!」
颯治さんがこっちに指を向ける。すると口に白いテープみたいなのが貼られてしまった。というか、このテープ取れない!
「もうすぐここにあいつらがやってくる。それまでに渡さないと、あいつらがどうなっても知らないからな。」
颯治さんは出て行ってしまった。
「あー。おもしれ。お前、よくその状況であんなに言えたもんだな。何されるかわかんないのになぁ。まあ、あいつ、女の子には優しいから大丈夫だとは思ってたけど、こんな口止めされてしまって。かわいそうにな。あ、俺はそれ、外せないから。なんだかんだで颯治の魔力は大きいからな。悪い。まあ、あいつがこんなこと言い出したのは俺のせいなんだけどな。」
え、今なんて言った?颯治さんのせいじゃないの?
「あいつ、最初は親にちやほやされてたから、親が冬希に興味持ったと思って、見放されたと思ってんの。それで落ち込んでて、あまりの暗さに友達も減っていったわけ。そこに少しだけ暗示かけて、俺の世界征服の手伝いさせようと思ったら、エスカレートしちゃったってわけ。」
そんな。ひどい。言いたくても口を塞いでしまっては言えない。
「まあ、早めにネックレスを渡すことをオススメするよ。じゃあね。」
一人になってしまった。なんとか、出れたらいいんだけど…