時を越えたアオイ (注、ミコトは中3です)
ここ何日か過ごしてきたが、改めて自分の精神に感動する。
考えてみると、心は男で体は女、しかも小さすぎず大きすぎずのまさに神に与えられたような容姿である。
何故かって?
そりゃ、入浴中に自分の裸に見とれていたからである。
それでもなお、自分の理性が保たれているのが不思議である。
そして私が変化してから一週間が経った月曜日、なんでも部に仕事の以来が来た。体育祭の準備らしい。
こんなこともやるのか、と言うと、
「仕事はさせてもらうものだと思え、って先生が」とミコト。
どちらかというと雑用に使われていると思うのだが。そんなことを考える私を気にもせず、ミコトは本棚にある資料を手に取る。その時、
「あっ」
と私が言うのと同時にミコトが取った本の辺りからドミノ倒しのように本が崩れ落ちる。
数秒呆気にとられていた私だったが、ミコトを見て我に帰る。
「ぐす・・・ふぇぇ・・・」
やばい、もしかして泣いてる!?
そういえばミコト、全校朝会でくしゃみして泣いてたっけ!?
「ミコト大丈夫!?」
「ぐす・・・ヒ、ヒナタァ・・・」
あ、泣いてる。
何とかミコトを宥めて、本の整理を始める。
ふと、手に取った本の表紙を見ると、[なんでも部 アルバム]と書かれている。
なんだろう、すっごく見たい。
沸き上がる好奇心を抑えて作業を再開する。
もちろん、アルバムをバッグに入れてから。
「体育祭当日は何かするの?」
「ん、昨年はグラウンドで踊ってた、何かやる?」
先程の彼はどこへやら。というかなんでも部よ、ダンスはどちらかというと文化祭向けでは・・・?
多少の違和感を感じつつ笑顔でミコトの話を聞いていると、数学の先生がやってきた。そして散らかった本とそれを整理する私たちを見て一言。
「おいお前ら、ここは中学校だぞ?多少は我慢したまえ」
「先生セクハラで訴えますよ」
「わぁゴメンゴメンごめんなさいぃぃぃ!!」
「はぁ、それで、何のご用で?」
「ゴホン。ミコト、提出のプリントが出でないぞ」
「出しました」
「俺の名簿にチェックが付いとらん」
「確認します」
そんなやり取りの後、ミコトは先生を引き連れて行ってしまった。
しばらくはボーッとしてたりしたのだが、もうこれ誰かに囁かれてるんじゃないか、ってレベルでふとアルバムの存在に気づく。
「い、いいのかな・・・」
ミコトいないし、いっか。
恐る恐る見てみると、そこには知らない人の写真が沢山あった。
まぁ当然か。
4年分の写真をパラパラを捲って見ていくと、やはりこれ誰かいるよね、って雰囲気でふと初代の写真が目に留まる。そこで見つけてしまった。
「嘘・・・」
そこにいたのは、知らない部員の中心にいた、相沢アオイだった。