彼女(彼)なりの決意
[なんでも部]。
昨年の卒業生が中1の時に創立したらしいこの部は、特に何をする訳でもなく暇をもてあまし、仕事を頼まれるまではいてもいなくても対して変わらないような集団で、その部には毎年個性的な連中が集まるという。
中学校にそんなものがあっていいのか、と思いたくなるが、
「ん、ちゃんと先生の許可は得たらしい」
というミコトの一言で全てが解決した。
「今日は人も来ないし、仕事も無いからすぐ帰れるよ」
ミコトが小さな声で言う。確かにここには私とミコトの二人だけだ。
「他にも部員はいるの?」私が言うと、
「・・・ヒナタ、どうしたの?」とミコト。
「いやぁ、ちょっと記憶が無くてさ、良かったら色々教えてくれない?」
「ヒナタが言うなら」 ・・・ちょっと無理があったかな?
ミコトは終始カタコトだったが、お陰で分かったことがいくつかあった。
今の私、神崎ヒナタは中2の時にH中学校に転校してきたということ。
そして、ナツミ、カズサ、ミコトの3人と知り合い、ミコトの誘いで[なんでも部]に入ったということ。
なんでも部はヒナタ、ミコト、そして2年の有山ナギサの3人で構成されていること。
そして・・・。
「ヒナタは今まで48人の男子からの告白を断っている」
え?
「4日前で48人目、現在記録更新中」
御愁傷様です。
その夜。
自分の部屋で、大きなため息をつく。
ここまでごく自然と流れてきた時が、そのツケを払うかのように止まった感覚に陥る。
どうして、どのように私は女になったのだろう。
いつかは戻るのだろか。
と考えたところで、戻ったところでどうなる?と考えに行き着く。
ごく平凡な中学校生活、良いところもなし、ましてやモテる訳でもない。
それならいっそ、このままでいいのでは?
彼女は決意した。
この体を借りて勝ち組として生きると。
こうして、神崎ヒナタはスタートする。