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ヒナタ(アオイ)の記憶再取得

死んだ魚のような目で起きてきた私を、弟が憐れな子羊でも見るかのような目で見てくるが無視して外に出る。

何が起きたかは分からないのだが、受験生真っ盛りな訳だし、学校にも行かなければならないので、アオイも通っていたH中学校へ。

制服も見事にスカートと化していて、着れずじまいの果てに親に着せてもらうという···。

ため息を吐きながら歩いていると、後ろから元気な声が。

「おっはよー!ヒナタ」

「え、あっおはようってうわっ!?」

いきなり後ろから抱きついてきたこの女子、アオイが密かに狙っていたクラスでも有数のミラクルガール、上坂ナツミである。

といっても今の私はヒナタ、どう接していいのか分からない・・・。

あたふたしているとナツミが

「フッフーン、ヒナタ、ついに私の抱きつき攻撃が効いてきたわね!このままいけばヒナタが私のものになる日もクフフフ・・・」

「いや怖い近寄んな」

「ふぇ!?ヒ、ヒナタそんなにSっ気強かった!?あわわ、これは私もマゾに目覚めるべきなの・・・?」

そんなやり取りをしているうちに学校に着く。

「じゃあまた休み時間にでも、さらば同胞!」

「血ィ分けてないし」

「ファ!?」


教室に入ると、やはりというべきかそこには見慣れた連中が。

「あ、おはよーヒナタ」

「おはようございます、ヒナタさん」

間の抜けた声で挨拶をするのは城島カズサ、通称カズである。

敬語の方は上野ミコト、彼はミコト、はかせ、先生とかで呼ばれていたりするが、基本的にはミコトである。

一言で表すとカズは天然、ミコトは幼げな少年と言ったところか。

因みにどちらも男子である。

二人はアオイの友達だったのだが、ヒナタとも仲がいいのだろうか?

そんなことを思いつつ、

「おはよう、カズ、ミコト」

とだけ返すと、カズが宝くじで一生暮らせるような金額当てたような笑顔で、

「なぁなぁ聞いてくれよヒナタ!この前お前がコンビニ行った時に見つけたって言ってたスナック[メガ納豆味]!あれ食ったんだけどさ、すげぇなぁおい!」

人はそんなことでそんな笑顔になれるものなのか、というかヒナタ、メガ納豆味って・・・。どんな気持ちで見つけたんだ、まさか買った訳ではあるまいな。

まあ納豆がヒナタの好物であるのだろう。私はカズに、

「どうだった?美味しかったでしょ?」

と言うとカズが、

「何言ってんだよ、どっちかというと口内で反乱が起きたぞ。お前納豆嫌いなの克服するからって、あれは俺でもキツかったぞ」

嫌いだったのか・・・。


朝のHRが終わり、一時間目は数字である。小学校の頃から数字を見るだけで吐き気を催す程の頭の悪さだったのだが、ヒナタは違った。

というのも、

「じゃあヒナタ、この問題解いてみろ」

「X=70です、・・・え?」

なんてやり取りが私の口から自然に出てきたからである。

二時間目の体育は陸上だったが、陸上部に引けを取らない記録でゴール。アオイは50m8秒だったのに。

このようにして、様々な形でヒナタの優等生ぶりが明らかになってきた。音楽の授業で「エリーゼのために」を弾いたときは流石にビビったが。そんなこんなでヒナタという存在がいかに大きいものかということを知った所で、ふと、ヒナタは何の部活に所属しているのか、という疑問が生じた。しかしその疑問は後に考えたくない方向へ向かう。

帰りのHRが終わるとミコトが、

「ヒナタさん、部活、行きましょう」

と、カタコトの日本語で言ってくる。彼は外人ではないのだが、人見知りのため、こういう感じになる。

アオイver.ではミコトはコンピュータ部だったはずだが、ミコトが誘うということは私もコンピュータ部?

するとミコトが、

「ヒナタ、行かないの?」

と言ったため、私はあわてた挙げ句、

「えーと、場所どこっだっけ?」

と満面の笑みをしてみせる。

そんな私をミコトは今朝の弟と同じ目で見ていた。

・・・なんでかなぁ。


困った顔をしたミコトに連れられて来たのは、4階にある[生徒会本部]と書かれた札が下げられた部屋である。そして思い出した。今の生徒会は会議室での仕事がほとんどのため、[本部]なのに空けられているのである。そしてこの部屋を借りているのが・・・。

「そう、なんでも部」

ミコトが小さい声ながらも自信を持ってそう言った。


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