<六>連絡
数日ほど経ったかのある日、連絡の途絶えていた叔母から突然華子に連絡があった。
「華ちゃん。元気にしてる? 暫く連絡しないでごめんなさいね。気持ちの整理が上手く出来なかったから」
「叔母さん。叔母さん。ううん。いいの。私とうとう一人っきりになっちゃったよう。でも、私は大丈夫。てか、生きてることは生きてるみたい。叔母さん、今どこから電話してるの?」
「…………」
答えはなかった。そのあと、叔母の言葉はやや意外なものだった。小学校時代の同級生で華子の親友だった人が亡くなったという連絡だった。江本麻紀さんという。華子も麻紀さんのことは二年間同じクラスで仲良くしていたのでよく覚えている。二十七~八年も前のことながら、華子には彼女との忘れられない思い出があった。華子は当時、両親と別居して叔母に引き取られているという特殊な家庭事情があったからか、クラスで一部のグループから苛めにあっていた。麻紀さんは華子のことを守ってくれ度々助けてもらった記憶があるからだ。
「麻紀ちゃん……。亡くなった? 病気か何かですか?」
「ううん。事故よ。交通事故」
華子は偶然の残酷さを感じ、少しめまいがした。家族の生活を破壊したのはバスの崖転落事故。そして、思い出の親友の麻紀さんまで……。「今晩通夜で明日葬儀があるから、葬儀に親友だったあなたに来て貰えないかしら。ええっと、最寄の駅と住所はね……」
何と奇しくも現地は華子の家族と同じ福島県だった。華子は亡くなった家族が麻紀さんのことをあの世から引き寄せてしまったのではないか、と勝手に想像して心を痛めた。