我が命が尽きるまで
ずっと、おれは君を愛し続けよう。
なんといっても、おれの初恋の人で、これまでの人生で、絶対不可欠な人となっていた。
一目惚れを信じていなかったおれだったが、君と目があった瞬間、恋が花開いた。
高校は別だったが、知り合いがその高校にいることもあって、君との出会いは何度も訪れた。
それは、知り合いに合うという口実で、実は君と会うためだった。
そのためなら、おれは何でもしただろう。
実際に、何でもしたのだから。
君がおれのことを気にかけてくれるようになったのは、下足箱のところで雨宿りしながら知り合いを待っていた時のこと。
「よく見かけるけど、その制服、この高校じゃないよね」
何気ない会話だったが、おれには記念すべき第一歩だ。
それが初めての会話だからだ。
「まあね。知り合いがここに通ってるんだ」
「ふーん」
ジャンピング傘を広げて、小走りに走っていく君の背中を、知り合いが後ろに来ていることを忘れるほどに眺めつづけた。
2年ほど、会話だけの友人と言うべき期間が過ぎた。
そのころ、俺も君に直接会うようなことがよくあった。
部活のところへ行ったりして、告白をしていないが感情では既に付き合っていた。
それを確信したからこそ、おれは君に告白した。
帰り道、おれが広げた傘の中、ぴったりと寄り添いながらおれは君に告げる。
「君のことが好きなんだ」
君は、静かにおれに言った。
「私も。好き」
「よかった、本当に良かった…」
泣きそうになっているのを我慢しているおれに君は、腕を組んできた。
「…本当のカップルに、私たちなれたんだね」
「ああ、そうさ」
その時、おれは決めたんだ。
君を、この命が尽きるまで、守り抜くと。
それから数十年。
すでにその時の知り合いも鬼籍に入り、とうとう、君も向こうの住人となった。
「俺も、すぐにそっちに行くから。それまでは、すまない」
動くのをやめた君に、おれはそっとささやきかけた。




