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【1章】ラピニス国の王
「外の世界って・・・どんなのなんだろう」
金というよりは銀に近い髪を持った少女はそっと呟いた。謁見室の玉座に座るこの少女は、このラピニス国の王である。
王は憂いた視線を足元に投げ、小さくため息を吐いた。
王という者は、外の世界を知っておくべき人物でなければならない。当たり前のようだが、国の運命を左右する実力を持っているからである。
しかし、この少女の王の言葉に側にいた家臣達は皆一様に表情を暗くした。
王を含むその場にいる全員には、ある無言の決まりがあるのだ。
王は城から出られない。
いくら王が望もうとも、国民が望もうとも、許されない。
ラピニス国の王と決まりは、神によって決められるのだから。
鬱々とした空気が謁見室に漂う。
普段より、空気が重いのには理由があった。
それは、朝の謁見時間が終わろうとしていた時である。
重厚な扉を蹴破るようにして、一人の男がダルそうに入ってきた。