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何者

作者: くるっぴ
掲載日:2026/02/08

偽物は僕だ。僕は本物だ。何を言っているんだ。僕は何もかも分からないよ。自分の存在すらも分からないよ。消えてしまいたいよ。まだ消えなくていいよ。いなくなっていいよ。まだだめだよ。僕はまだ生きなきゃいけないんだ。まだ僕は...


僕は何者だ。僕は今何をしているんだ。まだ何もしていないのか。なぜ何もしてないのだ。歩き始めたのか。いやまだ歩き始めていないのか。なぜ歩き始めるんだ。その行為に意味はあるのか?


その行為は本当に自分の意志で行っているのか?

なぜ行動するのか、その行為をする度に考えているのか?

僕は何を考えてこの行為をしたんだ?何のために?それとも誰かのために?


僕は人を殺してしまった。襲われたからだ。

必死に抵抗をした。自己防衛だった。

なのに僕は人を殺してしまった。

その行為は実行する価値があったのか?


あった。自分の命を守るためだ。

なかった。逃げるという選択肢もとれたはずだ。

あるいは命をあきらめて死んでしまえばよかったのだ。

その選択ができなかった僕は弱者だ。

何も生まない身であるにもかかわらず、他人からは奪うのか?

なんておこがましい存在だ。僕にはそもそも生きる資格がなかったのだろう。

この世に産まれてくる価値がなかったのだろう。

僕には何もなかったのだろう。

僕にはなにも...


僕は走っていた。何のために。別に何のためでもないよ。ただ走りたくて走っているんだ。その行為に何の意味があるんだ?僕は何のために...


僕の意志に何者かの意志が侵入している。

これは僕の意志ではない。でも周囲の人からは僕の意志ということになる。

何者かの意志で僕の身体の操作権が占領された。

僕は無意識でなにか悪いことをしてしまったみたいだ。

僕は自分自身の行動に意志がないにもかかわらず全て僕のせいだ。

何なんだこの理不尽は。

僕は何もしていないじゃないか。

なのに僕は期待していた。

いるはずのない、僕の意志を信じてくれる存在に。


僕は何もしていなかった。何のために?そんなの問うまでもない。誰のために?何だその質問は。何をしたいんだ?何もしたくない。僕はただ無を実感しているのだ。


思考も行動も何もかも無にしてしまえば、誤解は起きないのだと。

これで僕を疑う奴はいない。僕は何もしていないからだ。

何もしていなければ何も起きない。そんなの誰でも知っている。

だから僕は考えるのをやめた。

無に身を任せるのが自然だからだ。

無は全てを受け入れてくれる。何も存在しない。何もない。

ただ無を彷徨うだけなのだ。


偽物の僕は、まだ僕の命を狙っている。

自分の命を守るためにはこの方法しか残されていなかったのだ。

ああ、僕はあとどれくらい人生を捨てればいいのだろうか。

いつになれば生きることを諦められるのだろうか。

無には幸せはない。不幸せもない。

それなら僕は一体何なのだろうか。


僕は何者なのだろうか。


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