入学式
入学式
二人は学校の門の前に立っていた。
今日は入学式だ。
二人は身なりを整えると門を通った。
二人はそれぞれクラスを確認する。
名前を確認すると二人とも同じクラスだった。
「一緒だね!」
麗羅は今日一番元気な声で発した
空歩は少し嬉しそうに小さく頷いた。
二人は講堂まで歩いた。
「自販機があるね!」
「なにか飲むか」
そういうと空歩はカフェオレ、麗羅はミルクティーを買って飲みながら話していた。
「高校でも一緒のクラスとは思わなかったよ!めぐり合わせもあるもんだね!」
「今年もよろしくね、麗羅」
(んほぉぉ!)
…心の声を抑えた麗羅なのであった
「そろそろ始まるね」
飲んでいたペットボトルをゴミ箱に捨て、講堂へと急ぐ二人。
講堂に着くとほとんどの席がポツポツと空いている状況だった。
席をかき分けて2つ並んだ席に座ることができた。
ふぅと座ると隣の生徒が話しかけてきた。
「あ、あの、は、初めまして」
それは奥手な言葉とは裏腹に凄く澄んだ声だった
「初めまして、竜頭空歩です。こっちは幼馴染の麗羅」
「夜烏麗羅です!」
「ふわわ!は、初めまして、平田希です!」
彼女は平田希、小柄な女の子だ。
「初めまして平田さん」
「よろしく!」
空歩は尋ねた
「何組?」
「7組です」
「お!同じ!」
麗羅が嬉しそうに言った
平田が聞いた
「ふ、二人は仲良いんですか?」
「うん!仲良いよ!」
なんの躊躇もなく麗羅が発した。
空歩は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「そろそろ始まりますね」
三人は静かに壇上に向きを変えた。
入学式が始まった。
入学式が終わると座ったまま少し話した
「こ、これからどうするんですか?」
「んー、どうしようかな」
「これからどっかでお茶しよ!」
麗羅が前に出た。
「そうするか、平田さんは一緒に来る?」
「わわわ!いいい、一緒にですか!?」
「とりあえず歩きながら話そうか」
「は、はい」
そういうと三人は立ち上がった。
「私でよろしければ」
平田は立ち上がりながら呟いた
「一緒に行こ」
二人は息ピッタリに言った。
三人は門へ向かいながら喋り合っている
「お二人はホントに仲がいいんですね」
「昔から一緒にいるから息が合うだけだよ」
「それだけじゃないもん!昔から稽古して一緒の時間を紡いできたんだから!」
麗羅が息荒らげて言った
「こんな奴は唯一無二だよ」
空歩が照れくさそうに言った
「こんな奴ってなによー」
「間違えた、こんな「良い」奴」
ふふっと笑った麗羅
「んフフ」
平田さんが笑った
三人は門に着いた
門に着くと麗羅が空歩に駆け寄った
「空歩!一緒に撮ろ!」
「うん、いいよ」
そこにいたスーツの先生に声をかけ、写真を撮ってもらった。
一枚撮り終わり二枚目を撮ろうとしていた
すると空歩は手でチョイチョイッと平田さんへ手招きをした
平田さんは嬉しそうに、
そして恥ずかしそうに駆け寄った
二枚目は三人で写真を撮った。
三人は駅まで歩いていると
「駅の近くにファミレスがありますよ」
平田さんが二人に提案した。
「じゃあそこにするか」
空歩は二人に言った。
「はい」
「うん!」
二人は頷いた。
駅の近くに行くと三人はファミレスに入った。
そのファミレスにはたくさんの青葉学院の学生がいた。皆同じ事を考えているようだ。
三人は席に座るとメニューを見ながら喋り合っていた。
「俺はミートソースにしようかな」
「んー、悩むな、平田さんは?」
「ドリンクバー、かな」
各々メニューを決めていた。
すると平田さんが
「あの、お二人にお願いが」
神妙な面持ちで語り出した
なんだ?と平田さんの顔を見る二人
「ううう、苗字じゃなくて名前で呼んでください!」
二人はああという表情をした
「じゃ、改めてよろしく、希。それなら俺の事も空歩でいいよ」
「わ、わかりました、空歩、くん」
「私の事も麗羅でいいよ」
「わわ!わかりました!」
「よろしくね!希!」
「よよよ、よろしくお願いします!麗羅ちゃん」
「希は何か好きなものとかあるの?」
「好きなもの、ですか。歌が好きですね」
「へ!何聞くの?」
「ふぇっ、洋楽とか邦楽とかですかね」
「歌かー、俺はあんまり知らないんだよな」
「ねぇねぇ!あれ聞く?」
女性二人は音楽の話で盛り上がった。
「へー、歌詳しいね」
空歩が水を飲みながら言った
「よく聞いてますから」
平田は優雅にコップの水を飲みながら口にした。麗羅が聞いた
「歌えるの?」
「へあっ!」
希は変な声が出た
「そろそろ頼もうか」
空歩がそう言うと希は持っていたコップを両手で握りしめながら水を飲んだ。
三人は注文をするとドリンクバーへ行った。
「希面白いね!」
両手で頬を抑える希
「二人は何飲む?」
「えーと」
三人は飲み物をそれぞれ注ぐと席へ戻っていった
戻りながら空歩が言った
「なあ希、そんなに敬語使わなくていいよ?同級生なんだし」
「は、はい!あ!間違えた。」
「はははっ」
空歩は思わず笑った
「わ、私も敬語使おうかな!」
負けじと麗羅も発した
「いいんじゃない」
空歩はふーんという顔で応えた
「何よーその顔」
「フフフッ」
麗羅が希に聞いた
「ねぇねぇ!希はどこ出身なの?」
三人が話していると頼んだ料理が来た。空歩はミートソースパスタ、麗羅はハンバーグ、希はオムライスを頼んだ。
「へぇ、そんなに近いなら通学も楽だね」
麗羅がもぐもぐしながら話す。
ゴクンと飲み込むと麗羅は続けた
「この学校にしたのはやっぱり近いから?」
「はい、それもありますが兄が通っているというのもあって」
「へぇ!お兄ちゃんいるんだ!」
「はい。二個上の」
「へぇそうなんだ、私と一緒だね!」
「へ?」
「私にも年の離れた兄貴がいるんだー」
麗羅には12歳年の離れた兄がいる。
「昔はよく遊んでもらったな」
空歩とも顔見知りで正義感も強く立派な好青年である。今は自立しており、社会のため働いている。
「そういえば最近顔見ないね」
「うん、最近は仕事が忙しいらしい」
「ふーん」
空歩はそういうと食べ進めた。