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龍の掟  作者: 氣赦烙
学校が始まる
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仕事の依頼

 三月…


 空歩と麗羅は卒業式。

 いろんなことがあった学校とも今日で卒業だ。涙を流すもの、門で写真を撮るもの、別れを分かち合い称え合うもの。

 そして二人はそれぞれ、友達と別れをしていた。

 体育館で卒業式、これで学校とはお別れだ。

 門で写真を撮り、二人は帰り道を歩く。

 そこに

「お姉様」

 雷夢がひょこっと現れた。来月から雷夢はここの生徒になる。

「今日は卒業祝いですので色んな所からお客さまが見られています」

 仰々しく語った。

「来月からは雷夢はここの生徒だもんな」

「そうだが?竜頭空歩」

 すごい目で睨みつける。

「俺も一族のみんなに顔出さなきゃ行けないから今日はもうお別れかな」

「うん、また。今度は高校でね!」

 そう言うと二人はその道を別れた。


 空歩は帰るとその足で竜宮院本家へと出向いた。


 竜宮院修練場…

 真白く、だだっ広い空間で空歩は息を大きく吸い込む、そして、深くその息を吐き出した。

 異次元ボックスに入っていた龍火一閃を

 徐に取り出した。

 まだ鞘のない刀、目を閉じて深呼吸をした。そして目を開け、両手で大きく振り下ろした。

(この刀と巡り会った場所)

 そう心の中でつぶやくと龍火一閃を異次元ボックスにしまった。

 修練場を出ると人が待っていた。


「お待ちしておりました。」


 竜宮院の一室に通されると空歩はソファに座った。

 続けて修練場の前で待っていた人物も座った。その人物が口を開けた。

「改めまして、お初にお目にかかります。竜宮院本家代理、斎龍寺孤十乃『 さいりゅうじことの』でございます。」

 その斎龍寺は頭を深く下げた。

「あの手紙は貴方が?」

 すると斎龍寺は

「いえ、あれは本家当主が書いた物です。私は代理ですので今回の件の言伝役で参りました。」

 そう言うと斎龍寺はテーブルに地図を置いた。


 斎龍寺は手紙を取り出し、読み上げた

 

「……竜頭空歩殿、今回向かってもらいたい場所はルミウスハウスというバーの一角だ。そこにある一閃を回収して頂きたい。場所は地図に記してある。報酬などはそこの孤十乃に聞いてくれ。今回は危険性はないようだ。お主の健闘を祈る…

 …とのことです。」

 空歩は聞いた

「報酬というのは」

「その一閃に応じて報酬、基金額を支払うことになります。今回は危険性はないとの事でしたが大事をとって起きましょう。金額はおいおい決まりますが相場百万円が妥当かと」

 空歩は言った

「金額に関してなんだがそんなにもらっても持て余すだけだ。少しでいい」

 斎龍寺は続けた

「わかりました。では報酬は一割の十万円と致しましょう。残りの金額は竜宮院が大切に保管させていただきます。」

 斎龍寺は地図を広げた

「こちらにあります、ホテルサンアワードにあるルミウスハウスというバーの一角、こちらの一閃を回収していただきます。明朝出てください。電車で向かえば三十分弱で着きます。着き次第、一閃の捜索に当たってください。」

 空歩は聞いた

「一閃の形や特徴なんかはどんなものだ」

「詳細はわかりません。ただ、噂がたっているそうで」

「噂?」

「はい。なんでもそこで歌うとたちまちお金持ちになるとか歌手になることが決まるとか、あらゆる噂があり、一閃の力なのではと」

 空歩は少し考えた

 間髪入れず、斎龍寺が切り出した。

「それでは明朝、行動に移行してください」

 

 目まぐるしい話し合いだった。

 一方的に話された感覚に空歩は腕組みしながら竜宮院を出ると次に向かったのは烏間本家だ。それは龍人族は代々烏間家、もとい烏間一門を付き従えて来たからだ。その挨拶に来た。

「こんにちはー」

 門前で声を出して来訪を知らせた。

 すると

「いらっしゃい、竜頭坊ちゃん」

 中から烏間家の一人が現れた。彼は烏間尾前『からすまびぜん』、烏間本家元当主の重鎮。雷夢のおじいちゃんだ。

「今日は何用かな?」

「今日は卒業式の終わりに寄ったんだ。」

 すると後ろから

「お!空歩じゃん!遊ぼうぜ」

 子供がぞろぞろと出てきた

「遊ぼ!遊ぼ!」

「はいはい、今度な、今度」

 まとわりつく子供たちを引き離しながら喋った。

 空歩はよいしょと用事を済ませると言った

「じゃあ今日はこれで、顔出しだけなんで、」

 尾前に告げ、後にしようとすると

「これを持っていき」

 タッパーに入った赤飯だった。

「婆さんが作った赤飯だ、持っていき、それと、何かあったら頼りなさい」

 そう言うと尾前は振り返って中に入っていった。

「はい!」

 空歩はその場を後にした。

 

 空歩は家に帰ると仰向けになりながら巻物を見つめていた。開けるかどうか悩んでいるようだ。

 モヤモヤしているとええいと声を出し家を飛び出して行った。


 竜宮院トレーニングルーム…

 なにかするでもなしに寄ることにしたらしい。すると

「あれ?」

 麗羅がいた。彼女も遊びに来ていたようだ。

「なんだよ、ここは高校だったか?」

 麗羅は茶化す空歩にもう!と漏らした。

 見ると麗羅は鍔のない刀を持っていた。

「それは?」

 柄は黒く光っていた。

「烏澄一閃、今日作ったんだ、おかげでもうへとへとだよ。」


 一閃シリーズは作ると僅かに気力を持っていかれるため多少疲れることがある。そのため一度に量産は難しい。


「修行は延期だな。」

 空歩は麗羅に対して話した。

「明日は?」

「明日、か」

 空歩は少し考えた

「明日、ある一閃を回収しに行くんだ」

 と告げた。

「龍人族のお仕事?」

「まぁそんなようなもんだ」

 また少し考えた。空歩は烏間備前の言っていたことを思い出していた。そして

「麗羅も一緒に来てくれるか?」

 麗羅は烏間一門の一人。龍人族の仕事に行くにはもってこいの人材だ。麗羅は躊躇わずこう言った。

「うん!」


空歩は明日の時間を告げた。

そして二人は各々帰った。


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