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きみに抱かれてモブになる  作者: ゼルダのりょーご
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10 【聖炎】


「リヒトよ、鎖の色がわかるか?」


「うん、なんとなくね」


「ほう、視る目はあるのだな。お前が今握っているのは紅いだろ?」



 頷きながら、視る目があるとは?と問い返す。



「これって普通の人間には見えないの?」


「エーテルも含めて属性を知るには、高い魔力が要求される。その例外はスキル持ちになり、スキルレベルも関係してくる。低いと判別しづらいのだ」



 そうか。俺にも「なんとなくわかる」程度だ。


 確かに紅いベールに包まれているのが判る。

 俺はいま、その鎖にまとわりついているオーラのようなものを能力で視ている。

 そしてヴェギラゴのほうをチラ見する。

 彼が何を言わんとするのか気になって言葉を待つ。



「それは【聖炎(せいえん)】といって炎加護になる。相対する属性がなにか判るか?」



 それを今、視たところだ。

 この紅いオーラは属性で、炎ということか。

 その加護によって高熱切断が無効化されていたのだな。

 異世界の属性とは、物質を堅固に守る働きを持っているのか。


 単純に炎なら相対するのは水属性だ。

 ならば高熱で攻めたのは逆効果だったな。



「火には水だと思うけど、ただの炎なの?」



 火力で押し切ることが可能な例もあるはず。

 それができないのが現状であるなら単なる炎ではないのだ。


 それに水属性なんか持っていない。

 仮にそれがあれば、あっさりと打開できたのだろうか。

 相反する属性だけの理由で突破できない──そんな単純な理由で千年もの時を縛っておけるか。

 それと【聖炎】という呼び名も気になっている。

 聖の対がもしも闇とか魔なら属性対決は本当にお手上げです。



「ほうやるな、正解だ。なら青いのがすぐ傍にあるだろ?」



 俺の投げた疑問符には答えずか。



「傍ってどこよ?」



 鎖のほうに視線を戻して目を凝らした。

 アンタは巨躯だから傍かも知れないけど。

 俺は小人のような者だから、1メートルほど下方に目をやり見つけたわ。



「あれだな……。微かに青い光がまとう。もしかして水属性? 炎と雷は操ったことがあるけど」


「ならば問題はそのレベルだけだ」


「レベルとは強さだよね。どの程度強ければ打破できるの?」


「この世界での【特化】とは究極を意味するものだ。その域に到達しないものではこの鎖には通用しない」


「特化の意味は究極? 属性のスキル強化が足りてないんだな、俺」



 極めるということか。

 レベル上げとかいう面倒くさいやつだな。

 それを経てたどり着く洗練された技巧をまだ持ち合わせていない。


 ヴェギラゴは俺が転生してきたばかりだと考えるゆえ、そのスキルも使い始めたばかりで低いレベル帯だと判断しているのだな。この鎖については彼の言うとおりだ。


 だがレベルのことはよく知らないけど、俺には別の切断方法もある。

 いま用いるべきか迷うところではある。

 しかし、まずは気になる点を払拭してもらうのが先決だ。



「ついでに聞かせて欲しい。その【聖炎】の聖ってなんなの?」


「聖とは回復の意味だ」


「おぉ! 回復だったのか! それがどのように働いているの?」


「中途半端に傷つけても究極的な回復力で修復されてしまうのだ……。ゆえに属性攻撃のレベルがだな……重要かつ──」



 おお、なるほどな。

 なんとなく理解できた。

 聖は回復の象徴か。思わず聖女様を連想した。

 たしかに回復系で魔を退ける感じの言葉だよな。


 だが、それだと──。

 


「──さっきのは炎なのに、回復もしているの?」



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