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ナクル村笑日記  作者: 動く点P
8/9

第八話

村に戻って数日後。


「やっほー。元気?」


つい先日会ったばかりの…魔女さんがやって来た。




「…オッさんならまだ帰ってませんよ。」


苦手意識が強いせいで、薬の礼よりも先に、『帰ってくれ』という気持ちが出てしまった。


「知ってるよ。だから来たんだ。」


「おや、オッさんの知り合いでござるか?」


「知り合いも何も…マゲさん自分で言ってたじゃないですか…『魔法が使えない魔女』だって。」


「えっ、本人?」


語尾も忘れるくらい、素で驚いている。


「へぇ〜。こんな美人からラブレター貰ってたの、オッさん。」


「やっぱりそういう関係だったんですかね!?」


キャロリン先輩とゲラ子さんが、後ろで盛り上がる。


「ラブレター?…あぁ。まー似たようなものかな。」


「似たようなものなんですか!?」


「そーそ。『助手に来い』って、何度も誘ってるんだけど…私よりも大事な仕事が、どんなものか気になってね。」


「『大事な仕事』…って言っても、オッさんって普段どんな仕事してましたっけ?」


「普段は…楽そうな依頼か…そこに座ってるか…依頼も受けずにどこかへ行ってるか…ですかね?」


あんまり仕事をしてるイメージが無かったけど、ゲラ子さんの証言で、本当に仕事してない事が発覚してしまった。


「まぁ、歳も歳でござるし…動くのが辛いのやも…。」


「ただのオッサンじゃん。」


「まぁそうね。…でもただのオッサンにしては、妙に色々詳しいと言うか…。」


「例えば?」


「法とか犯罪とか、裏事情に詳しいよね。」


「まぁ、取り締まるのが仕事だったし。」


「え?オッさんが?」


「そうだけど?」


「…え?元エリートとは聞いてたけど、衛兵でもしてたの?」


「…え、何も聞いてないの?」


「何も…ねぇ?」


皆で顔を見合わせるが、誰も何も言わない。


「気になるんで教えてください!」


純粋な興味本位で魔女さんに頼む。


「…私は良いけど、本人がわざわざ黙ってるんだったら…まぁオッドだし良いか!」


「良いんだ…。」


「あの人、皇国第二機動隊の副長だよ。」


「えっ?」


何て?


「…あれ、どっかで聞いた事あるような…?」


「…そこの魔女殿と同じ隊でござるよ。」


「えっ…?」


「元エリートとは聞いてたでござるが…。」


「…って、そんなに有名な部隊なんですか?」


「んー…まぁ、皇国と、周辺国じゃあ有名だけどってくらいかな?」


「へー…隣国までって、かなり凄い部隊だったんですね。」


「いや、部隊自体は大した事無いよ。仕事も使いっぱしりか、点数稼ぎみたいな事ばっかだったし。」


「えっ、じゃあなんで有名だったんですか?」


「あー…お嬢ちゃんって、ここの産まれ?」


「はい。そうですけど?」


「じゃあ知らないかぁー。…説明しなきゃ駄目?」


面倒になったのか、魔女さんが話を急に投げ出す。


「…『忘れ者たちの希望』、でござったか。」


「なんですか、それ?」


「皇国の宗教と政治になぞった呼び名でござるよ。

魔法が使える事が『当たり前』とされる国で、神様に魔法を貰い忘れたから、『忘れ者』…でござったかな?」


「まぁそこは、神様にも忘れ去られたー、だとか色々言われてるから、なんでも良いんじゃない?」


マゲさんの問いに、魔女さんが適当に返す。


「で、そういう者たちの不満に、隣国が後押しして…なんやかんやで、『忘れ者』の扱いの見直し、という話まで漕ぎつけて生まれたのがこの部隊でござる。」


「『忘れ者』だけで結成された、衛兵部隊。

…ま、実際のところ、『忘れ者』同士での足の引っ張り合いだし…。

無理を押し付けて、『あぁやっぱりコイツらは出来損ないだ』って言うまでがセットね。」


「…なるほど。後続の部隊も、そういうことでござるか。」


「えと…つまり?」


「…政治的に有名な部隊、かな。」


「伝説の部隊と聞いていたのでござるが?」


「それは私達の期に、とんでもないのが揃ってただけ。」


「それを自分で言うのでござるか。」


「え?…あぁ、私も一応『とんでもない』側なのか。」


「他には誰が居たんですか?」


「んー…色々居たけど、一番目立ってたのはやっぱ隊長だよね。」


「英雄…希望の翼…一時期は、あの男の噂で持ち切りでござったな。」


「エリオ・アルベルティっていってね。オッドの相棒だった人。」


「革命を起こした際のリーダーであり、そのまま部隊長に着任。

腕は立つし、頭も切れる。

人柄に容姿…全てを備えた圧倒的カリスマ、でござったかな。」


「ほぇー…凄い人なんですね…。」


「本当にでござるよ。まさか、オッさんがその相棒を務めていたなんて。」


「ん?むしろ、オッド以外務まらなかった、というかオッドだからここまで有名になったと思うんだけど?」


魔女さんの意外な言葉に、全員が首をかしげる。


「なんでですか?」


「なんでって…カリスマの半分はオッドの仕業よ?」


「…え?」


「隊長、言うほど英雄でも無かったってこと。…一人ならね。」


「それは…初耳でござるなぁ。」


「でしょうね。バレたら意味無いし。」


「じゃあ、本当は…?」


「あの人、結構駄目人間よ。

頭悪いし、人を見る目も無いし、感情の起伏は激しいし、女性関係はだらしないし、金遣い荒くてよくオッドに借りてたし。」


「うわぁ…。」


「…英雄の素顔とは、こういうものでござるか…。」


マゲさんもなんだか残念そうだ。


「それでも、見た目と人柄で、人を惹き付ける力があったのは確か。

それを英雄に仕立て上げたのがオッドって話。」


「オッさんが?どうやって?」


「どうもこうも…あの人、人間のプロよ。」


「人間のプロ?」


「人間について、あの人ほど詳しい人は見たことないね。

そのくらい、人間についての知識は凄かった。

…まぁ、『ろくでもない』って付くほうだけど。」


…どこに『ろくでもない』が付くかはさて置き。


「…オッさんも、実は凄い人だったんですね。」


ようやく、なんとなくだが実感した。


「それが落ち込んでるだろうと思ってたら…ねぇ?」


「どうして落ち込んでると思ったんですか?」


「そりゃ相棒が死んだ後、ずっと落ち込んでたし…返事も無いからまだ引きずってんのかと。」


今さらっととんでもない情報が出てきたけど…。


「そんなに気になるほど、オッさんが大事だったの?」


恋の匂いを嗅ぎつけてか、さっきまで興味無さそうだったキャロリン先輩が、嬉々として戻って来た。


「大事ではないんだけど。」


大事ではないんだ…。


オッさんが居たらショックを受けそう。


「…けど?」


「使い勝手が良かったからね。他の学者と違って、地位や名誉に野心が無いし。」


「それで助手に?」


「まぁね。そんなところ。」


「…オッサン、助手に連れて行くんですか?」


居たらアレコレ駄目出しして口うるさかったのは確かだけど…居なくなると思ったら、それはそれで寂しい気がしてきた。


「無理だから私の方から来たんじゃん。と、言う訳で。」


魔女さんがニッコリと笑顔を作る。


「今度はそっちの話を聞かせてよ。」




一応ストーリーの流れは完成しました。


あとは細かい話を決めながら書くだけ。


…だけ…なんですが…。


話自体が想像以上に長くなるので、引き伸b…閑話や単話がそれなりの回数必要なのが、今更ながら後悔しております。


これ日常系だっつってんだろ!引き伸ばしが必要なのは最初から判ってただルゥゥゥオ!?(巻き舌)


…それは…キャラ設定と共に没となりました。


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