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奴隷、雑魚処理を行う

 一番怖い顔の奴が一番後ろにおり、偉そうに叫んでいた。


 ボスだと思う。なんか一番強そう。


 他は下っ端なのか、装備もお粗末な五人だった。


 奥の方に弱い気配が複数人、弱い気配だが少しだけ元気のある気配が一人混じっている。


「主人はあの親玉を、私は雑魚を相手します」


「ああ」


 主人は駆ける。主人の道を邪魔しようとしている奴らの足を地面から蔓を伸ばして止める。


 魔法の一種である。


「悪いけど、雑魚には手加減が難しい」


 手加減しても殺してしまう可能性がある。


 ここで殺しても、地獄に行って重い罪になるだけだ。


 だから、生かして捕らえて、この世で成る可く罪を償い、そして地獄に行かせる。その方が少しばかりは罪も軽くなる。


 ま、反省しないと意味無いけど。


 私は近くの盗賊に歩いて近づき、触れる。


「な、んだ?」


 ぐったりと首を倒す盗賊。蔓から解放してやる。


 地面に倒れる盗賊。


「良いよね。相手を眠らす魔法って」


 催眠術は地獄、天界、神界にもある。


 五人とも眠らせて、私は主人の攻防を見学する事にした。


 ◆


 盗賊のボスを相手している。


 相手は戦斧を使っているにも関わらず、かなりのスピードを出せる。


「おりゃあ!」


 大きく振るわれた斧を横にステップして躱す。


 地面に大きな亀裂が入る。


 流石は筋力数値1200と言ったところか。


 かなり高い部類だ。ま、その数値はスキルを合わせての数値だが。


 スキルなしでも俺の方が数値は上だ。力負けはしない。


 しかし、どうやって捕まえようか。


「ちょこまかと!」


 相手を拘束出来るようなスキルや魔法は覚えてないしな。


「なぁ、おい」


 そこで、盗賊のボスの動きが止まった。


 こいつのステータスの称号欄に盗賊のボスってのがあったので間違いない。


「俺達の仲間に成らないか? 成るなら」


 世界の半分でくれるってのか?


「俺達が遊んだ後だが、女をやろう。若いエルフだ!」


「エルフ、か。まだ見た事なかったな。だが、今の言葉で俺はキレたよ」


「は?」


「お前は生きる価値の無い人間だ。ビーストブースト、アクセル、ブースト、身体能力向上、リミットセクト!」


 俺にしか作用されない強化系スキルを使い、圧倒的なスピードでボスに接近した。


 剣を振り上げ、下ろそうとした瞬間。


「止まれ!」


 俺は剣をギリギリのところで止め、声のする方を見る。


 そこには、耳の長いを持つ裸の女性に剣を突き立てている盗賊の仲間が居た。


「へへ。相変わらず俺は運が良いようだな」


 ◆


 乱入者現る。主人の全力的な感じのを見れる気がしたのに、とんだ邪魔が入った。


 エルフを人質にして主人の動きを止めた。ボスの口角が吊り上がる。


「甘ちゃんが!」


「がは!」


 腹パンされ、吹き飛ぶ。


「仲間になれば、あれも使えたモノを」


 亜人とは言え、人である事には変わりない。


 エルフを正に道具のように扱う盗賊達。


 愚かだな。だが、それでも元閻魔だった私は中立の立場で居ないといけない。


 もしもエルフ族に家族が殺された、だから復讐だ。それなら地獄行きなのは変わりないが少しは罪が軽くなる。


 ま、ただの人も殺っているようだから、無理だろうが。


 それに、あれは完全に欲望の塊だ。


「いや〜備えあれば憂いなし、俺ってば運が良い」


 ふ〜ん。運が良いのか〜、なら、今日は最悪の運命の日だな。


 私は気配を遮断して相手の背後に一瞬で移動した。


 私が本気で気配を遮断すれば、人間界に住む奴らに気づかれる事はありえない。


 盗賊の体に触れ、眠らせる。


「え、あれ?」


「エルフの娘」


 エルフの体を応急処置的な感じで魔法を掛け、創造魔法で適当な服とナイフを創り出した。


「仲間が居るだろう。それなら助け出す事が可能の筈だ。主人の邪魔になる。け」


「⋯⋯」


「速く」


「は、はい!」


 主人は立ち上がり、私の方を見る。


 そこには既にエルフは居らず、盗賊は倒れていた。


「はは。俺は最高の仲間を持ったな」


 仲間ではなく奴隷である。


「ああん? て、え」


 ボス、困惑。


 ま、数秒で盗賊は眠ってるしエルフは居ないしで困惑するだろう。


 だが、その油断は良くなかった。


 主人が一瞬でボスの懐に潜り込み、剣を振り上げる。


 ボスが気づき、回避行動を取るが、遅く右腕が切り飛ばされた。


 良く体が切断されなかったと言っておこう。


「はは。強いな。冒険者にしておくには惜しい存在だ! お前にはこれを使う価値がある! 仲間にならなかった事を後悔しろやああ! こい、地獄の悪魔(ヘルデーモン)


 青いクリスタルを懐から取り出し、掲げる。


 クリスタルから怪しい光が放射され、それが魔法陣を虚空に描き、そこからゆっくりの悪魔が出て来る。


 しかも、その悪魔の背中には烙印が描かれていた。その烙印とは、弱者の烙印。


 地獄で生まれたにも関わらず、地獄の環境に耐えられず、魔界に移住した劣等悪魔の証である。


 魔界では上位に入るだろうが、地獄では雑魚中の雑魚である。


 だが、確かに今の主人では辛いかもしれない。


 それに、私自身もかなり力を封印しているので、アイツを倒すのは少々めんどうだ。


「地獄に住まう最強の悪魔だ! これでお前は終わりだ! あひゃはははは!」


 悪魔に生命力が吸われているな。


 完全に狂ってやがる。主人は警戒しているようだ。


「ふむ。ここが現界か。我が支配するにふさわしい惑星だな」


 そんな事しようとしたら地獄の閻魔様か神界の神がお前を滅ぼしに来るぞ。


 世界の輪を保つ為に。


 流石にゼウス様などの至高神クラスや魔王様は来ないだろうけど、私の元同僚は来るだろうな。


「ふむ。最初の餌はお前だ人間。少々力はまだ出ないが、お前程度なら余裕だな」


 あ、そうか。


 召喚されたばかりだから魔界に居る時の力はあまり出せないのか。


 私は三年も居るから慣れたけど。


 なら、私だったら余裕だな。


 私はポンっと手を拳で叩く。


 よし、決めた。アイツ主人の成長の餌に使おう。


 ◆


 助けられたエルフは仲間の元に向かっていた。


「何この服、凄く、暖かいし軽い」


 裸足だと言うのに、痛みは感じない。


 体が軽く、今なら何処へでも行ける、そんな気分になれる。


 仲間の牢屋に着いた。


「待ってて。今出すから」


 本来、媒介無く創造された物は大した性能は持たない。


 だが、ボロい鉄格子程度なら簡単に切れる。それはバター、豆腐を切るように。


「わあ!」


 軽く切れすぎて、転ぶエルフ。


 そんな自分の姿に嘲笑を浮かべつつ、牢屋を綺麗に切って仲間を解放させる。


「皆、待っておこう。多分、迎えが来る。私達が行っても、足でまといだから」


 自分を助けれてくれた白銀の女の子を思い出しながら、待つ事にした。

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