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奴隷、主とダンジョン攻略しています

 この世界は五層に分かれている。上から神界、天界、現界、魔界、地獄。


 現界は人間界など、悪魔、天使、神以外の種族が集う場所である。


 地獄の方がより凶悪な魔物や悪魔がおり、そのまとめ役的存在であり、魂のカルマに基づき、地獄を決める閻魔の存在がいる。重労働で、複数体居る閻魔の姿を見るモノ達は少ない。


 そんな閻魔を束ねるのが魔王。キングオブキング、仕事の量もキングオブキング。


 体力の概念等無いので、年中無休で働いている。


 神界に居る天使の方が強いのは当然だが、天使の上、神と呼ばれる存在も居る。


 平和で、過酷な労働環境とは無縁。裁く神は別とする。


 そんな二つの世界のてっぺんまで上り詰めたミアの価値観は、バグっている。


 現界の魔物と地獄の魔物を比べると、SSS級の魔物が地獄では雑魚に値する。


 SSS級は生きる災害、英雄と呼ばれる人達が複数人集まって倒せる程度だ。それ程、地獄と言う環境は辛い。


 ミアがどうして生き残ったのか、彼女はそれを既に忘れていた。


 ◇


(ここに来て二年、普通に過ごしていたが、ヘルフレアは魔力3000がないと使用不可でMPが300必要、スキルで30あれば使えるけど、無詠唱で使ったら皆驚いたのに、この子は違う。⋯⋯もしかして俺、ただ弄ばれていた? いやいや、そう考えるのは早計だ)


 主人が何を考えているのか全く分からないが、進まないのか?


 主人は魔石を広い上げ、何かを呟く。


「アイテムストレージ、収納」


 ふむ、亜空間に収納したようだ。


 ちょっと覗いて見ようかな? ダメだな。人のガボンを覗くような行為は良くない。


 それからも進み、魔物は主人が一人で倒していた。


 途中から剣で体を真っ二つにしていた。


 奴隷、道具である私の出番が無く、どうして私を買ったのか分からない。


 戦闘奴隷な私は魔物やダンジョン、ちょっとした常識は教育されている。


 そして、目の前にミミックが現れた。宝箱の方が良いかな?


「ミミックかもしれない」


 ミミックだよ主人。


 宝箱全体から魔力が溢れているのでミミックだ。アイテムなどの場合は内部のみから魔力が溢れている。


 そろそろ奴隷としての務めを果たそう。


 私は地面を抉るように蹴りを放つ。


 地面の破片が高速でミミックに向かい、その速さに寄って破片に火が出る。


 ミミックを貫いた。


 塵となり魔石になったミミックを唖然と眺める主人。


「え、あ、あれ?」


「魔石、拾わないんですか?」


「拾うけど(ダンジョンの床を抉った? 筋力2000ある俺でも出来なかったのに? 彼女のステータスはどうなっているんだ?)か、鑑定」


 私に向かって何かを呟いて来た。体全体がムズムズして来る。


 なんだろうかこの感じ? 何か覗かれそうな、そんな感じだ。無性に腹立つ。


(力の差があり過ぎて鑑定不可!? こんなの他の奴らですら起こらなかった。転生者と言う訳でもなさそうだし、なんなんだこの子は?)


 凄い疑問な目を向けられて私はオロオロする。


「そろそろ時間だし、戻ろうか」


「は、はい」


 主人が来た道を歩き始めた。何故?


「どうしたの? 何かあるの?」


「いえ、空間魔法は使わないのかと思いまして」


「俺じゃ出来ない(あれは知力1万、魔力1万がないと使えない魔法チーター御用達の魔法だ。無理無理。近接メインで、俺はスキルが豊富なだけだからな)」


「そうですか。私は出来ますが、使ってもよろしいですか?」


「使えるのか! ああ、頼む」


「それでは」


 私は中指と親指で弾いて、パチンと音を鳴らした。


 次の瞬間には外に出ている。


「⋯⋯」


「主人?」


「⋯⋯な、なんだよこれ。詠唱破棄? でも、魔法名は言わないと使えない筈だろ? な、なんだこれ? す、凄いと言うか、チート過ぎる」


「主人、酔いましたか?」


「え、酔ってないけど」


「そうですか」


 瞬間転移は弱い奴にとっては酔ってしまう。


 にしてもここまで反応されるとこちらも反応に困るな。


 地獄や神界では下っ端が普通に使っていたからな。


 これからは気をつけた方が良さそうだな。主人の為だけに使おう。


 ※ミアの下っ端は人間界だと天災級(ランク不明)


 宿に戻る前に冒険者ギルドに向かい、今回の魔石を渡した。


 周りから「ほんと、どっから出してんだ」などなどの声が聞こえて来る。


 ただ空間に穴を開けて自分の所持している空間に繋げているだけなのに、その狭間がしっかりと見える。


 狭間から普通に出しているのに、どこから出しているんだはおかしい。


 あのスキンヘッド、頭悪いんか?


「今日は何時もよりも少ないですね」


「あはは」


「コバヤシ様、戦闘奴隷をお買いになったんですか?」


 受付嬢がそう言って来る。


「はい。C級に上がったので、仲間が欲しかったんです(自分がヘマしても誰にも話さい人が良いから奴隷を選んだんだけどね)」


 奴隷は仲間では無く道具だと言う指摘はしても良いのだろうか。


 いや、ここは口を挟む基余計な事は言わないでおこう。


 宿に戻り、先に風呂に入って良いと言って来た。


「主人が先に入るのが常識だと思います」


「いや、女の子を後にするのは良くないからね」


 女の子⋯⋯主人は成人の十五であろう。実年齢数万か数十万ある私の方が全然年上だ。


「いえ、買われたばかりで、酷く汚れているので、後が良いです」


 無意識に構築されている魔力コーティングのお陰で汚れ一つないけど。


(全く汚れているように見えない。寧ろ健康そのものだ)


 しかし、主人は譲らなかった。


 なので先に風呂に入る事にした。


「風呂か、人間界の風呂は初めてだな」


 奴隷商人の所に居る時は濡れたタオルで洗うのが普通だった。


 地獄では無駄に熱い風呂しかないし、天界では豪華で、神界だとさらに豪華だった。


 そう考えると、ここの風呂はなんの感想も湧いて来ない。


「カビが増殖しているな」


 取り敢えず、時を戻して新品にしておこう。


 風呂の後は晩御飯なのだが、なんと奴隷である私も同伴する事になった。


「好きな物を頼んで良いぞ」


「主人は優しいのですね」


「そ、そうか?」


 と、言うよりもバカ? 普通奴隷に新品の装備は与えないし、食事も残飯だ。頼めば無料でくれるだろう。


 風呂も⋯⋯まぁ同伴はしたくないけど。


 しかし、主人はそれが当たり前だと言うような行動をして来る。


 主人、もしかして知識が乏しい?


 料理を頼んでいい⋯⋯料理なんて記憶にあるのは母親の手料理だけだった。


 地獄の頃に何を食べていたのかも覚えてない。


 既に食事が必要ない体だし、残飯は食べたく無かったので奴隷の時は飯を燃やしていた。


 だが、ここで変に思われるのも嫌だ。何か適当な物を頼もう。


 昔の記憶はかなり失われているが、母親と過ごした日々は今でも鮮明に覚えている。

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