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第4話

「そりゃあね。いちいちクラブとかに行かれちゃ、家計がたまらないわ。だったら話は聞かないからね、という約束して、うちでお酒とつまみ作るわよ。って、そういうこと、ハロルドは無いの? 兄さんに友達多いのは確かにわかるけど」

「その友達に、私、結婚式以来会ったことが無いのよ」

「嘘!」


 パトリシアは驚いて手にしていたカップを激しくテーブルに置く。

 紅茶が跳ねた。


「……そうなってくると、ちょっと怪しいわねえ」

「何が?」

「浮気」


 ぐっ、と私は詰まった。

 その可能性を全く考えていなかった訳ではない。

 ただ、信じたくはなかったのだ。


「ねえ、ちょっとこっそり調べてもいいんじゃない? そのくらいのお金はあるんでしょう?」

「興信所?」

「そう。貴女自分で以前は稼いでいた訳だし、自由になるお金、少しはあるでしょ?」


 確かにそうだった。


 そして私はパトリシアの夫から紹介された、ハロルドとの関係が全くない弁護士を紹介され、そこから興信所に依頼した。

 すると。


「奥さん、全然隠してない浮気ですよ」


 あっさりと結果が出た。


「写真がちゃんと撮れるくらいにゆっくりしっぽりあちこちで。しかも相手は複数」

「……」

「どうします?」


 弁護士のこの問いに、この時点の私はまだ保留にしてもらった。

 ただ、いつ何処で、ということに関してはしっかり調査資料をもらった。

 結果、仕事が長引いて――嘘。

 男同士の付き合い――嘘。

 休日に疲れて――これだけは嘘ではなかった。

 私はさすがに呆れた。

 一週間のうち、火曜と木曜と金曜に決まった女が居るというのだ。

 しかもその相手のうち一人は既婚者。

 一人は未婚のお嬢さん。

 そして最後は未亡人だった。

 女性のタイプも様々だった。

 私のトーンが全体的に重い紺や黒に近いとすれば、相手の女性はオレンジだったり栗色だったり輝く金色なのだという。

 こればかりは写真では判らないので、撮った調査員の話だけど。

 それがまた、聞き込みによるとずいぶん長く続いているというのだ。


「……信じられない」


 パトリシアも報告を聞いて絶句していた。

 可能性はある、と思っていてもさすがに実兄が。

 そして複数と殆ど公平に定期的に関係を持っているなどと、想像もできなかったのだろう。

 無論私もこれは夢だろう、と思いたかった。


「ルビー、さすがにこれは家に言うべきよ。そして貴女の実家にも」


 憤慨したパトリシアは今にも彼女の実家に駆け込もうという勢いだった。


「いいえちょっと待ってパティ」


 私は彼女を止めた。


「止めても無駄よルビー。証拠はこれだけ揃っているのに、どうして?」


 理由はいくつかあった。


「ともかく、本人に理由を聞きたいわ」

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