アジト
敵のアジトに潜入したN-04だったが、罠に引っ掛かり囚われの身となってしまった。
「はっはっは、N-04とうとうお前を捕まえたぞ。年貢の納め時だなぁ。」
N-04は、両手両足を金属の鎖に繋がれて、身動きできない状態だ。
「これは、良~い眺めだ。わが組織の仲間達を散々かわいがってくれたお礼だよ。はっはっはっはっ。」
大広間の中央にステージのような一段高い場所があり、秘密結社ドルガの首領スコタンドが、大きな椅子に座ってN-04を見下ろしている。N-04は、俯いたままだ。
「恐怖と絶望に打ちひしがれたお前の顔を、もっとよく見せてくれよ。さあ、さあ。」
よく見ると、N-04の体が、小刻みに震えている。
「ん?恐怖に耐えきれず、震えているのか?お楽しみはこれからだぞ?!」
周りの手下たちも「そうだ!そうだ!」と騒ぎ出す。
N-04が、顔を上げた。笑みを浮かべている。
スコタンド「恐怖で頭がおかしくなったか。」
N-04「俺が何の準備もせずに、このアジトに乗り込んでくると思うか?」
スコタンド「どういうことだ?」
N-04「この場所は、地下にある。しかもこの辺りは地盤が弱い。・・・それは何を意味するか分かるか?」
スコタンド「何が言いたい?」
N-04「地震が来たら、みんなペッちゃんこだ。」
スコタンド「お前もな!」
N-04「今のは嘘だ。」
スコタンド「・・・そう願うよ。」
N-04は、両手両足を伸ばし、床に大の字になった。
スコタンド「どうした?諦めたか?」
N-04「あ~あ、大富豪の家にでも、生まれたかったなぁ~。」
スコタンド「こいつは、もう終わりだ、やれっ!」
子分たちが一斉に飛びかかる。N-04絶体絶命の大ピンチ。
しかし、次の瞬間、雷のような轟音とともに、子分たちが、四方八方へ、吹っ飛ばされた。
いつの間にか、N-04に繋がっていた鎖が破壊されている。
N-04「見たか!!秘技電光石火!お前もくらえ、えいっ!!」
スコタンド「うわ~!!!」
スコタンドの体がワイヤーで引っ張られるような動きで、飛んでいった。
スコタンド「おのれ~!覚えていろ~!!」
N-04「はっはっは。俺は記憶力が悪いから無理だな。」
N-04「今日も今日とて、ノープランで敵を打つ、N-04とは、俺のこと!!皆さんご声援ありがとうございました!!このあと、15:00から2回目のステージがありますので、良かったらまた遊びに来てくださいね~!!」
ステージが暗転して、ヒーローショーは幕を閉じた。
ここは、とある避暑地にある、宿泊施設内のステージ。数組の親子連れがショーを観ていた。
パパ「こりゃ、酷いなぁ。無料じゃなかったら見てられないよ。」
ママ「私は、無料でも損した気分よ。お土産でも見てた方が、よっぽど良かったわ。大切な時間を潰された気分よ」
パパ「そう言うなよ。子供たちも意外と楽しんでたみたいじゃないか。」
ママ「そう?途中から興味なさそうだったけど・・・。」
パパ「それより気付いたか?ショーに出てたあの二人、元お笑い芸人だよ。」
ママ「え?見たことないけど。」
パパ「たしか数年前に【N-01】っていうお笑いコンテストで、ベスト4まで残っていたと思う。」
ママ「それで、N-04か。良く分からない名前だと思ったら…。コンビ名は何だったの?」
パパ「・・・今、気づいたんだけど、首領の名前を逆に読むと・・・。」
ママ「あっ。」