04・白いツバサ「姫乃」&勇者ご令嬢「ステラ」
title「放っておけない」
・白いツバサ「姫乃」&勇者ご令嬢「ステラ」
通リスがりの女の子「急がなくっちゃ」
たったった……
こけっ
女の子「きゃっ、いたた。転んじゃった……」
姫乃「えっと、大丈夫?」
ステラ「あなた大丈夫?」
姫乃「あっ」
ステラ「えっ」
姫乃「(ど、どうしよう。他にも同じ事考えてた人いたんだ)」
ステラ「(ちょっとびっくりしたけど、別に声をかける人が多くても悪い事じゃないわよね」
女の子「心配してくれてありがとう、でも平気だよ。じゃあね!」
姫乃「……ええと、良かったですね」
ステラ「そうね。強い子だったみたい」
――
通りすがりの男性「うーん、どこに落としたんだろう。困ったなぁ」
姫乃「あの、どうかしたんですか?」
ステラ「何か困ってるみたいだけど」
姫乃「あっ」
ステラ「えっ」
姫乃・ステラ「(またこの人も……?)」
男性「ああ、ありがとう。ちょっと大事な物を落としてしまって。申し訳ないけど、探すのを手伝ってくれないかな」
姫乃「分かりました」
ステラ「もちろん。お手伝いします」
ごそごそ
姫乃「(それにしても、あの女の人……見知らぬ人に声をかけるなんて、きっといい人なんだろうな)」
ステラ「(それにしてもあの女の子……ぜんぜん知らない人に自ら声をかけるなんて、きっといい子なのね)」
――
通りすがりの男の子「うえーん、うえーん。おじいちゃんが、おじいちゃんが倒れちゃった!」
姫乃「大丈夫!? すぐに病院に運ばなくっちゃ」
ステラ「待って! まずは容態を診て、動かして良いかどうか判断してからじゃないと」
姫乃「あっ」
ステラ「えっ」
姫乃「(すごい偶然だな。でもとにかく目の前の事に集中しなくちゃ)そうですね。あっ、周りに看護師さんがいないか聞いてみなくちゃ」
ステラ「(よく会うわね。偶然なのかしら)安全確保も大切よ。周りに危険な物がないか確認しないといけないわ」
姫乃「(すごい、やるべき事が分かってるみたい。きっと慣れてるんだろうな)」
ステラ「(こんな状況に動じないなんて、きっと場なれしてるのね)」
姫乃「(でも、一番なのは……きっと困ってる人を見たら放っておけない人だからなんだろうな)」
ステラ「(だけど、一番は……たぶん困ってる人を放っておけない性格だからかもしれないわね)」
後日談
男の子「ありがとう。おじいちゃんね、もうすっかり具合良くなったよ」
姫乃「そっか、良かったね」
ステラ「良かった。でももし同じ事があったら次は焦らずに、周りに人に助けをもとめて。きっと助けてくれる人もいるから」