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R30からの異世界紀行  作者: ちょこもん
1/5

この異世界のかたすみで?

書きたい事渋滞してますが展開遅くてすみません。

変なハーレム展開もありつつ最終的には巨悪と戦うはずです!

1)  堕ちた!



それはまさに青天の霹靂。



突然目の前にあらわれた雲一つない突き抜けるような眩しい青空が回る。

同時に平衡感覚がおかしい。

すぐに空が回っているのではなく自分自身が回転している事に気付く。

回転しながら航空写真で見るような地表が視界に飛び込んで来た。

耳には風を切る轟音と服に打ち付けるバサバサと言う乱暴な音が途切れる事なく響いている。


上空?…


空の上?…


買い物帰りだった為、手には白いビニール袋が握られている。

そうだ、俺は買い物帰りのはずだ。

自分のアパートの鍵を開け、玄関に一歩足を踏み入れたとたんに落ちたのだ。


この空の上に…。



そして視界がぐるんぐるんと回りながらまさに地表に向け自由落下している最中だ。

恐ろしい程の風切り音とともにみるみる地表は迫って来る。

なぜ?、などと思うより早くダイジェストの人生が脳裏にプレイバックされた。

これが死を前にした時に見る走馬灯かという感動よりもその取り立てて何もない内容に愕然としながら容赦なく地表は目前に迫る。




…と、その前に自己紹介をしておこう。

俺は30代の愛くるしいおっさんだ。名を片桐という。

独身彼女なしのフリーター。

これといった特技も能力も学歴もないが、かと言って努力を好む訳でもない。

仕事もせずニートを謳歌していたら実家を追い出され、親が探した安いボロアパートで一人暮らしを始めて約1年が経つ。

容赦のない親からの援助は3ヶ月で打ち切られ、仕方なくアルバイトで生計を建て何とか生きている。

根がダメ人間だからだろう、貯金も出来ないギリギリの収支だが生活出来るという事だけで満足していた。

毎日気ままに部屋で安い酒を飲み好きな物を食いネットを満喫できるので、小言を言われ続ける実家にいる時よりもむしろ充実しているのだった。

容姿的な事を言うと…生まれてこのかた女性からモテた事はないが、かと言って全ての女性から相手にされない程ヒドいとは思ってはいない。

出会いがないだけなのである。

頭はうっすら地肌が見え始め無精髭がまばらに生えてはいるが、ケンカや争いを好まないにこやかな笑顔は好かれこそしないが嫌われる事はないと自負している。

運動もしないので全体的に脂肪のついた肉体、ポッコリと飛び出した腹…これはさすがにまずいと感じているが前述の通り努力を好まないので改善はしない。

さらに、出会いもないから服装なども適当だ。同じ服を毎日着るのは当たり前だし、パンツなど気が付くと1週間変えない事もざらだった。


以上、他人から見る俺は『モテない自堕落なダメおっさん』に見えるのかもしれない。




しかしいくらダメおっさんだからと言って、こんな不条理に巻き込まれる筋合いはない。

まったくもって意味が判らないし非常識過ぎるではないか!

もしこれを合理的かつ冷静に受け止めるならば、答えは一つだ。


「あぁ、夢かw」




しかし次の瞬間俺はうつぶせの状態で地表に叩き付けられた。


「ぐはぁっ!!」


痛い。超痛い。

鼓膜が破れるかと思う程の轟音と衝撃が脳を揺らした。

内蔵がすべて破裂したに違いない。

いろんな物が飛び出していて間違いがない。

勢い余って着地点からバウンドし、高さ3m、距離にして15m以上の場所に今度は背中から地面に着地した。



ズザァァァァァ!!!


「くそいってぇぇぇ!!」


土煙が舞い上がる中、自分でも驚く程の大きな声で罵ると少しだけ冷静になれた気がした。


「……あれ?…い…生きてる……」

やはり夢なのかと思うのだが全身を包む痛みは本物のように思える。


今や自分の周りは静寂を取り戻し、遠くから鳥のさえずりが聞こえ、風に乗って爽やかな草花の香りが鼻腔をくすぐる。

そして目の前には素晴らしく青い大空が広がっている。…もちろん今はもう回転はしていない。

雲一つない…と思ったが、上空に小さな渦のような歪みのような何かがある事に気付いた。

そういえば同じような物を一瞬見た事を思い出した。



そう、それはほんの少し前、自分のアパートの玄関だ。


見慣れたコンクリートが剥き出しの灰色の玄関。

買い物から帰り扉の鍵を開け、何百回も回したドアノブを回し、手前に開けたドアをくぐり、何の躊躇もなく足を踏み入れた時、その足下に渦のような何かがある事に一瞬気付いた…気付いた時には踏み出した足に体重が移っていた為そのままその渦の中に落ちたという訳だ。


「どうなってんだよ?……」


とりあえず体を確かめた。

体の痛みはあるものの手足は普通に動くし出血も見られない。

立ち上がり体を動かしてみたが、骨が折れているという事もないようだった。

そもそも痛みと言っても堪え難い程の激痛ではなく、例えるならドッチボールを不意に勢い良くぶつけられたような、ヒリヒリする痛みの全身版だったのだが…。



とりあえず周囲を見回す…。


自分の着地点を中心に地面が半円状に大きくくぼみ放射状に地面が割れている。

規模は小さいが隕石が落ちた時に出来るクレーターってやつじゃないのか?…という事はやはり衝撃は大きかった訳で、体が無傷という理由が尚更判らない…。


そして当然の事ながら周囲の景色にも見覚えがない。

土が剥き出しの地面、緑鮮やかに風にそよぐ草木、見渡す限りの青空、左奥一帯は森になっているのか深い緑が横たわり、さらに遥か奥には霞がかかったように頂きを白く染める見た事のない雄大な山脈が連なっていた。それに比べ右側は青空の割合が大きい…かすかに潮の香りがしたようなのでもしかしたら海になっているのかもしれない。

とにかく視界に入って来る物に人工物が1つもないのだ。


『…た、確かにウチの近所は大都会というにはほど遠い地方都市だが、ここまで何もない自然豊かな場所がある訳がない………ここって……』



その時ーーー

『グガァぁぁぁぁ!!!!』

野獣の咆哮に聞こえたそれは空気を伝わる音であると同時に地面から振動とともに響いてくる衝撃波だった。

同時に先ほど自由落下中に一瞬目にしたシーンが脳裏に蘇る。


空、地表、空、大きな森、空、山脈…回転しながら落下する俺の視界には上下左右の認識もままならない一瞬一瞬の風景が飛び込んで来ていた。

その中のわずか1シーン、深い森の中、周囲の木々に囲まれても目立つ巨大で長細い艶かしいロープのような物が動くのが見えていた。


は?何?

と思ったのはわずか一瞬で、景色は回り続け、瞬く間に俺は地面に叩き付けられたのである。


たった今聞こえた咆哮が俺の脳裏に映った記憶と結びついたのは当然であり、その結果俺が想像したそれは車並みの胴体を持つ巨大な『蛇』であった。



全身で恐怖を感じながら音の聞こえた方を振り返る。


深い緑で包まれた大きな森、バキバキと木材が弾けるように割れる音がどんどんこちらに迫り、追い出されるように何十羽もの小さな鳥が悲鳴を上げながら青い空に飛び立っている。


「まじかよ…」


飛び出して来る物に身を構えたが、完全に腰が引けていた。

通常サイズだろうが蛇が向かって来たらビビって悲鳴を上げる自信がある。

あり得ない特大サイズともなれば、それが例え生まれたての子猫であっても腰を抜かしこの場に尻餅をつき地面を濡らす自信がある。

しかし…



『お前かーーー!!』


大声を上げ飛び出して来たのは黒い衣装に身をまとい、特徴的な帽子をかぶった背の低い女の子だった。

距離があるので詳細にはわからないが、そのシルエットは所謂魔法使いのそれである。

やはり詳細にはわからないが…どうやら怒っているようである。


直後、俺に向け走って来る魔法使いの少女に続いて別の人影があらわれた。


所々肌の露出が多めであるが、使い古された渋みのある金属感が漂う鎧に身を包んだ美しい金髪の若い女性。腰には長物を差し、そのシルエットは戦士のように見えた。所謂女戦士なのだろう。


魔法使いの少女に比べ、女戦士の体の大きさが際立っている。

魔法使いが小さいのか、女戦士が大きいのか…、俺に近づけば近づく程その遠近法を無視したかのようなバランスのおかしさが際立って見える。



そして走って来る2人の背後、


メキメキと木の割れる音とともに森の一部が弾け飛んだ。

何本かの大木がなぎ倒され、圧倒的に巨大な物体が現われる。




車並みの大きさの蛇と想像していたそれは、電車並みのそれだった。

いや電車以上かもしれない、しかも数匹いるのか頭が3つ同時にあらわれた。

開いた大きなクチにはぬめぬめとした唾液で濡れる剥き出しの鋭い牙が光り、奥では先が2つに割れた生々しいピンク色の細い舌が踊るようにうごめいている。


『ジャーーーー!!』


狩りの前に獲物の身を縮込ませ逃走の自由を奪う為の威嚇なのだろう、まんまと俺はその咆哮に当てられ金縛りにあったように動けなくなっていた。




「このヤローーー!!!」


背後の恐ろしい蛇などお構い無しに魔法少女と女戦士がどんどん俺との距離を詰めている。

なぜ怒られているのかわからないのだが、このヒトの形をした2人の存在で背後の巨大な爬虫類への恐怖心は若干やわらいだ物の、それでも今すぐに腰を抜かすには十分な状況である。


「う、うしろ!!、うしろ!!」

コントのネタ的なセリフを言ってるなぁと思いつつ俺の声は恐怖で裏返っていた。


「八つ裂きにしてやる!!」

えぇ!?  へ、、蛇より恐い!! なんなのこの人達!?


「八つ裂きに!…その体をゆっくり八つに…いや!八つなんて生温い!、パーツごとに引き裂いて小さい順に真っすぐに並べてやる! 足の小指より先に股間にぶら下げてる物が先頭に来るんじゃないのかぁ!! しゃっしゃっしゃっw…しゃ……………」


俺に対する全力の怒りを露にしていた魔法少女だったが、俺の顔を視認できる距離になるにつれ、そのトーンがみるみる変化して行った。

相手から顔が確認出来るという事は俺からも少女の顔がはっきり確認できる距離になったのだが…、一言でいうなら超絶可愛い。


ついさっきまで男性のように豪快に走っていたのがウソのように、俺の5メートル手前位からはおしとやかに内股でゆっくりと歩を進め、なぜかモジモジしながら俺の顔を盗み見ては頬を赤らめ近づいて来た。


背は子供のように低い、白に近い薄いブルーの髪、小動物的な優しそうな小さな顔、大きな瞳はブルーに輝いている。現実では見た事のないアニメやゲームで見るような美少女で、到底『八つ裂きに』などのセリフが似合わない幼女である。

『股間にぶら下げてる物』などというお下劣な言葉がこの可愛い口から出て来るはずがない。100%確実にまごう事なく明らかに俺の聞き違いに間違いない。


その格好はコスプレとしか思えないのだがまさに魔法使いと言った風貌だ。

露出のない黒っぽい法衣(?)は被るように着るのだろうか、上半身だけでなく下半身まで届いている。古典的な魔法使いが被るような大きいつばを持つ帽子、持ち手から上は異様な曲線を描く杖には宝石のような物がいくつもはめられその長さは少女の身長程だ。

そのすべてから使い込まれた年季を感じる。決してコスプレではないと思わせる迫力が漂っている。


「あら?…」

そして背後の女戦士もまた、表情を変える事なく俺の顔に何やら反応を示した。

少女が1メートル40センチほどの背丈というなら、こちらの女戦士は優に2メートルを超えていた。…さ、3メートルはないと思うが、とにかくデカイ。


しかしながら、圧巻の美しさである。

輝くような金色の長い髪、切れ長のクールな目元、緑がかった瞳、涼やかな唇。

モデル並みの足の長さ、無骨な鎧からはみ出るばかりの胸元、迫力のある腰回りに剥き出しの太ももは筋肉が盛り上がっている。

ぱっと見ではセクシーで奇麗な大人の女性なのだが、無骨な鎧から垣間見える筋肉は男が萎縮するには十分な迫力がある。


「いい男じゃないか。見逃してやりなよ」と女戦士。

「う、うっさいなぁ。それとこれとは話が別!。許してあげないんだからぁ!」

魔法使いは可愛く頬を膨らませている。


ん???…

い……今、いい男と言わなかったか? 

…俺の事を? わかりにくいが逆の事を言って鼻で笑う感じなのか?

全く表情を変えないから実にわかりにくいぞ、女戦士! 



「あんたがアイツを何とかして見せなさい そしたら許してあげる。」


そう言って魔法少女が背後に手をかざす。

そこには巨大な蛇…3匹いると思っていたのだが、どうやら胴体は繋がっている三ツ頭(みつがしら)の蛇がこちらの様子を伺っていた。


距離は、俺から2人までが2メートル、その背後3メートルほどに三ツ頭の大蛇が3つの大首を持ち上げている。

その高さはおそらく3階建てアパートを超えるだろう。

大蛇は魔法使いや女戦士も威嚇しているが、メインの標的はどうやら俺のような気がしてならない…。超目が合うのだ…。

イヤな予感というのは当たるのがこれまでの俺の人生である。予想がつけば計画が練れるのかもしれないが、しかし俺に出来る事といえば生唾を飲み込む事くらいだった。



今や大蛇が首を振り下ろすワンアクションで、その大きなクチは俺を頭から飲み込む事ができる距離であり、それがいつ起こってもおかしくない状況だ。

あまりにも危機感のない2人の様子を目の当たりにし俺は震えながらも腰を抜かさず立っていられる。そしてこの状況で立っていられる事実が自分にわずかばかりの力を与えてくれた。


『何とかなんて出来る訳がないが…せめて逃げる事ができないだろうか?…』


俺は必死に考えた。

いきなり逃げ出し背中を見せるのはまずいだろう、動くなら大蛇が襲いかかって来た瞬間だ。右か左か…いや前だ。相手の懐に飛び込む…、その巨大な体が仇となり足下にはクチが届かないかもしれない。それに女戦士に近づけば助けてくれるかもしれないという淡い期待も持てる。


我ながら名案だ、と思った刹那…その瞬間は訪れた。


「あ」


三ツ頭の左の頭が俺めがけて飛んで来て、一瞬で視界が真っ暗になった。



もの凄いスピードでトラックが自分に突っ込んで来る事を想像して欲しい。

そんな感じで大蛇の巨大な頭が飛んで来たのだ。何か出来るなど考えた事がおこがましい。視界が一瞬で真っ暗になったという事は一瞬でパクッと食われたようである。

…食われてから、俺は前方にジャンプしたのだ。


…頭の中ではサッと前方に飛び込み攻撃をかわすイメージが出来ていたのだが、相手の素早さが勝っていたのか…俺が運動もしないメタボ体型の中年男で反射神経が錆び付いているのか…、現実には攻撃を受けてからかわそうと体が動いたのだ……。

真剣白羽取り遊び〜と言って頭を棒で叩かれ続けた子供時代が脳裏をよぎった。

もしかしたらこれも走馬灯の一種なのだろうか?…



   そして予想外の事が起きた。



つ、続きます〜。

2人の正体は!? なぜ主人公をいい男と??

その前に主人公なぜ死なん??

つーかまだ三ツ頭と絡んでる最中だしやっぱ展開おそっ!!

というかココどこ!!

…などなど、次で書くのかなぁ? (^_^;A…

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